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カギはスマブラ? 任天堂は株価「右肩下がり」を脱却できるか

   任天堂の株価が年末に下落を続け、年初来安値の更新が相次いでいる。

   米国など世界の景気が後退するのではないかとの不安から世界的に株安が進行していることの影響を受け、世界的な暴落となった2018年12月25日には市場の濁流に押し流される形で前週末終値比4.3%(1255円)安の2万7770円で引けたが、そもそも任天堂の業績を心配する向きもある。2018年は1月24日の年初来高値(4万9980円)から右肩下がりの傾向にあり、上昇基調に反転するには年末商戦で相当良い結果を出す必要がありそうだ。

  • 任天堂本社(Moja~commonswikiさん撮影、Wikimedia Commonsより)
    任天堂本社(Moja~commonswikiさん撮影、Wikimedia Commonsより)
  • 任天堂本社(Moja~commonswikiさん撮影、Wikimedia Commonsより)

大幅増益を達成したのに...なぜ?

   12月に入って以降、下落傾向を強めていた任天堂株。心理的節目となる3万円を割り込んだのは19日だった。一時前日終値比3.9%(1200円)安の2万9790円をつけ、1年7カ月ぶりの安値となった。終値は3万円ちょうどで大台をなんとか確保したが、前日比3.2%(990円)安と大幅下落であることには変わりない。

   この日の市場は新規上場したソフトバンクの話題でもちきりだったわけだが、直前の通信障害などが影響し初値(1463円)がいきなり公募価格(1500円)を割り込み、終値は1282円とこの日の最安値だった。所有していた90万人とも言われる個人株主にとっては天を仰ぐ事態で、個人投資家の心理悪化から個人に人気の任天堂株も売られてしまったようだ。その後、3万円の大台を割ったのは前記のとおり。

   任天堂の足元の業績には期待と不安が交錯する。少し前だが、10月30日に発表された2018年9月中間連結決算を見ておこう。売上高は前年同期比4.0%増の3889億円、営業利益は53.7%増の614億円、純利益は25.4%増の645億円と大幅増益を達成している。2017年3月に発売した家庭用据え置き型ゲーム機「ニンテンドースイッチ」のソフトの販売が増えたことが大きい。「マリオカート8デラックス」「ゼルダの伝説ブレスオブザワイルド」などスイッチ関連ソフトの販売は4213万本で前年同期比91.3%増を果たした。

絶好調スマブラが本体に及ぼす好影響

   ただ、スイッチ本体の販売台数は3.7%増の507万台で、やや伸びが鈍っている。また、7~9月期に限ると営業利益は30.0%増の308億円で市場予想平均(418億円)を大きく下回った。SMBC日興証券は「スイッチ本体の販売台数が市場予想に届かなかったこと、ゲームソフトの自社ソフト売上高比率が4~6月期の82.9%から7~9月期は71.0%に低下したことを要因に挙げた。

   問題は経営を左右する年末商戦だ。11月16日に「ポケットモンスター」、12月7日に「大乱闘スマッシュブラザーズ」と重量級の人気シリーズの新作を波状的に投入し、万全の構えで臨んだ。このうちスマッシュブラザーズSPECIALは「発売後1週間で500万本を売り上げ、任天堂の据え置き型ゲーム機向けソフトでは過去最高の販売ペース」と報じられた。こうしたことが今期の販売台数目標を2000万台とするスイッチ本体の販売にどう影響を与えるか、といった点が任天堂の今後の株価を占ううえで焦点となりそうだ。