J-CAST ニュース ビジネス & メディアウォッチ
閉じる

ティラミスヒーロー「大好きな日本で、なんでこんなことが...」 他社が商標登録、企業側は謝罪し「使用権譲渡」

   シンガポールの著名な菓子「ティラミスヒーロー」のブランドロゴについて、日本の菓子メーカー側が「企業戦略の一環」として商標登録し、ティラミスヒーロー側がロゴを使えなくなった。

   ティラミスヒーロー側がロゴ変更で困っていることをツイッターなどで明かすと、ネット上でメーカーへの批判が相次ぎ炎上状態になった。これに対し、メーカー側は、ロゴの使用権返上をサイト上で発表し、騒ぎについて謝罪した。

  • ロゴのコピー被害を訴えたティラミスヒーローのサイト
    ロゴのコピー被害を訴えたティラミスヒーローのサイト
  • ロゴのコピー被害を訴えたティラミスヒーローのサイト

「私達の大好きな日本でこのような事がおき大変残念」

   ティラミスヒーローは、2012年にシンガポールで創業し、翌13年から日本のデパートなどでも瓶入りのティラミスを販売している。黒いマントとアイマスクを着けたネコのブランドロゴで知られている。

   ところが、公式ツイッター上などで18年12月末、ブランドロゴが日本でコピーされて使用できなくなり、「私達の大好きな日本でこのような事がおき大変残念」だと訴えた。そして、新しいロゴを作ったと報告し、「ティラミススター」や「アントニオヒーロー」の新ブランド名で販売を続けることを明らかにした。

   その後、別の瓶入り商品「ティラミスヒーローズ」の販売店が19年1月20日、東京・表参道でオープンすると、このティラミスを手がけるメーカー「ヒーローズ」側がティラミスヒーローの名前、ほぼ同じブランドロゴを商標登録していたとツイッターで指摘され、騒ぎになった。

   登録は、ヒーローズの社長が経営する別のパンケーキ会社「gram」(大阪市)の名前で18年中に行われていた。また、ヒーローズについては、店や商品の名前のほか、デザインは別だがネコのキャラを使っているところも似ているとの声も上がった。

   そこで、シンガポール本社の日本側運営会社にあたるティラミスヒーロー(千葉県松戸市)に1月21日、J-CASTニュースが取材すると、ロゴをコピーしたのはヒーローズ側と本社から聞いているとし、顧問弁護士が法的な対応を検討していると担当者が答えた。

CM出演の三浦翔平さんにも懸念

「本社の手違いから、それまでブランドの名前やロゴを商標登録していませんでした。もっと早く登録をしていれば、こんなことになっておらず、お客さまに申し訳ないと思っています。ブランドを使えず、お客様にご迷惑をかけてしまい、とてもつらいところです」

   本社のスタッフも、「大好きな日本で、なんでこんなことが...」とこうした状況を悲しんでいたという。

   商標法第4条1項では、外国の商標については、類似のものも含めて、日本や外国で著名なもので支障が出るような場合は登録できないことが定められている。しかし、特許庁は21日、「個別のケースには答えられない」と取材に答えたうえで、一般論として、「どの程度広く知られているかなどで解釈の余地があり、個別に登録の是非を判断している」と説明した。

   ネット上の騒ぎを受けて、ヒーローズは1月21日、「HERO'Sの出店に関して」のタイトルで説明文をサイト上にアップした。そこでは、「他社のティラミスに関する商品とは関係ありませんので、他社の商品と混同されませんようお気をつけ下さい」とした。

   しかし、22日になって、ティラミスヒーローのブランドロゴ使用権をシンガポールの日本側運営会社に譲渡するとサイト上で発表した。そこでは、「皆さまにお騒がせ致しまして誠に申し訳ありませんでした」と初めて謝罪している。

   ヒーローズの広報部は22日までに、取材に対し、商標登録について「企業戦略の一環」だったと説明し、ティラミスヒーローの日本側運営会社とは代理人を通じて連絡を取っていることを明らかにした。

   「弊社の商品は、弊社の商品として独自のもの」だと強調したうえで、表参道の店は、引き続き営業する予定だとしている。

   会社名で商標登録があったgramでは21日、「ヒーローズとは、関係がありませんので、何もお答えできないです」と取材に答えた。

   なお、ヒーローズでは、俳優の三浦翔平さん(30)がCMに出演しており、三浦さんのインスタなどには、ファンから「イメージにも影響する」などと心配する声が寄せられている。三浦さん所属事務所のバーニングプロダクションでは21日、「こちらには関係がない話で、CMを降りることはありえない」と取材に話した。

(J-CASTニュース編集部 野口博之)