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NGTやSPAの騒動で存在感 署名サイト「Change.org」のパワーと注意点

   新駅の名称「高輪ゲートウェイ」の撤回運動、女性蔑視ともとれる記事を掲載した雑誌への謝罪要求、アイドルグループの暴行事件をめぐる支配人の"解任動議"――。

   社会的な事柄の問題提起や民意の数値化に、米国発の署名サイト「Change.org」(チェンジ・ドット・オーグ)が一役買っている。気軽に署名活動に参加できるのが特徴で、利用者は全世界で2億人を超える。ただし、専門家は注意点もあるという。

  • Change.orgより
    Change.orgより
  • Change.orgより

会員登録で参加可能

   Change.orgは2007年にアメリカで設立され、日本版は12年に立ち上がった。誰でも署名の募集と参加ができ、身近な問題から世界的な社会課題まで幅広く呼びかけられている。公式サイトによれば、これまでに世界190か国以上で約2億7000人が参加したという。

   利用方法はこうだ。まず自身の氏名とメールアドレスを入力し、専用アカウントを作る。必要に応じて住所や電話番号なども登録する。

   次に、サイトで嘆願内容や署名の提出先などを書き込み、賛同者を募る。訪問者は会員登録すると賛同できる。

   Change.orgの運営は、メルマガやイベント参加の特典がある「会員プログラム」(1000~5000円)と、署名ページをサイトの目立つ位置に表示させる「キャンペーン広告」(300円~)でまかなう。

著名人も利用

   昨今、大きな関心を集めたトピックも、Change.orgが寄与している。

   18年12月4日に発表されたJR山手線の新駅名「高輪ゲートウェイ」をめぐり、決定方法が不透明だとして、コラムニストの能町みね子さんが「撤回署名」を始めた。活動は複数の報道媒体で紹介され、最終的に約4万8000筆を集めた。

   雑誌『週刊SPA!』(扶桑社)の特集で「性交渉をしやすい」大学を順位づけしたのは不適切だったとして、編集部が19年1月7日に謝罪した一件は、「女性を軽視した出版を取り下げて謝って下さい」との署名活動がきっかけとなった。14日には署名を立ち上げた大学生らと編集部で話し合いの場も設けられた。

   アイドルグループ「NGT48」の山口真帆さんが暴行を受けた事件では、19年1月10日に「グループ支配人の辞職と運営スタッフの公式な場での謝罪」を求める署名運動が起こり、その後要求が叶った。

プレイバシーの懸念も

   ただし、参加には注意点もあるという。

   ITジャーナリストの神田敏晶さんは、J-CASTニュースの取材に「ある程度のプライバシーが犠牲になることも覚悟して署名する必要がある」という。

   署名すると自身の名前がページ上に公開されるため、自身の主義主張が「見える形」となる。この点が紙の署名と異なるという。

   指定の欄を選択することで名前を非公開できるが、標準では公開だ。 

   Change.orgにも注意点を聞くと、ヘルプセンターから「必ずしもそうではありませんが、すべてのユーザーは自分のすべてのユーザーは自分の申請を管理する責任を持っています」と回答があった。

(J-CASTニュース編集部 谷本陵)