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ビックカメラ、業績は悪くないけど... 投資家の不安はどこに?

   ビーックビックビックビックカメラ――軽快なCMソングでおなじみの家電量販店大手、ビックカメラ。業績は決して悪くないラインで推移しているのだが、その株価が下落基調にあり、2019年1月22、23、24日と3日続けて昨年来安値を更新した。

   訪日外国人の消費意欲の弱まりや、消費増税の影響を懸念する投資家が多いようだ。

  • ビックカメラの宮嶋宏幸社長(2012年)
    ビックカメラの宮嶋宏幸社長(2012年)
  • ビックカメラの宮嶋宏幸社長(2012年)

家電量販店は全体的に下落基調

   ビックカメラの昨年来高値は2018年4月11日の1942円。2018年末の4K・8K放送開始や2019年10月の消費増税前の駆け込み需要などを視野に業績改善期待が高まったころだ。同業他社よりもネット販売への対応が進んでいるとみられていることも期待値を押し上げた。実際に2018年8月期連結決算は、営業利益が前期比23.8%増の270億円となり、2年ぶりに過去最高を更新する好調な内容だった。

   ところが2018年4月以降は、徐々に株価がその水準を切り下げる展開となり、特に12月以降、下げ足を速めた。

   下落基調にあるのはヤマダ電機やケーズホールディングスといった家電量販店株全体の傾向でもある。その理由について市場では「消費増税後の売り上げ反動減を意識する局面に入っている」との声が聞かれている。

   そうした下落基調の中で1月10日、ビックカメラは第1四半期にあたる2018年9~11月連結決算を発表した。売上高は前期比4.5%増の1970億円、営業利益は5.1%減の28億円、純利益は2.4%減の19億円と増収減益。売上高が増えたのは全体の1割を占めるネット通販の販売額が25%程度増えたことなどによる。利益面では子会社のコジマが営業黒字に転じたことは朗報だったが、物流センターの拡充や通販サイトの刷新などネット通販にかかる費用がかさんだことが響いた。ということは減益とはいえ「成長痛」のような面もあり、将来への期待をむしろ高める内容とも言える。

PayPay効果で一時上昇も...

   さらに同じ1月10日にビックカメラが発表した、書き入れ時である12月の全店売上高(コジマ除く)は前年同月比23.4%増と好調だった。「PayPay」の100億円還元キャンペーンが押し上げたとビックカメラは分析している。このキャンペーンはスマートフォンによるキャッシュレス決済を提供するペイペイによるもので、商品を購入した代金の20%を還元する仕組みで話題を呼んだ。これらの発表を市場は好感し、1月11日のビックカメラの株価は反発し一時、前日終値比3.1%(45円)高の1477円まで上昇した。

   しかし、この日の株価反発は下落基調の中での一時的なあだ花となった格好で、22、23、24日には3日連続で昨年来安値更新となった。その後やや持ち直してはいるが、相変わらず1300円を割り込む水準だ。

   これという悪材料が直前に出てきたわけではないが、外国為替市場で1ドル=110円を突破する円高が定着しつつあることで、「訪日外国人の消費意欲が弱まる」という警戒感が高まったのが一因のようだ。

   ただ、1月11日配信の野村証券のリポートが「2019年8月期はネット通販とコジマの成長で業績拡大を見込む」としたうえで「消費増税後の反動減は東京オリンピックの特需で相殺されるだろう」と指摘するように、不透明感のみに覆われているわけではない。着実な業績改善を示すことで株価反転につながるとの見方は市場の一部にある。