J-CAST ニュース ビジネス & メディアウォッチ
閉じる

スポーツ、芸能界...問われるファンサービス 松坂負傷の影響「大きい」

   ファンとの接触により右肩を痛めた中日・松坂大輔投手(38)が2019年2月12日、沖縄県内の病院で検査を受け、右肩の炎症が見つかった。スポーツ紙などが報じたもので、松坂はキャンプ中にファンと接触した際に右腕を引かれ、その後、右肩に違和感を覚えたという。今後はノースロー調整を続ける予定で、開幕ローテンション入りが厳しい状況になった。

   今オフ、プロ野球選手とファンの交流が問題化する中で、最悪の事件が起こった。これまでは、自主トレ中の選手にサインをもらえなかった一部ファンが、SNS上で選手に対して暴言を吐く程度のものだったが、ついに選手の体が傷つけられる事件が。球団は今後の再発防止策を講じる必要に迫られる。

  • 画像はイメージ
    画像はイメージ
  • 画像はイメージ

ダルは女性ファンが、貴乃花は男子高校生が

   ファンとの接触による負傷した選手といえば、ダルビッシュ有投手(32)が挙げられる。高校2年の甲子園選抜大会で、開会式を終えたダルビッシュは女性ファンに握手を求められた際に右腕を強く引っ張られて負傷。病院での診察の結果、右棘下筋痛で全治2週間と診断された。当時、アイドル的存在だったダルビッシュに握手を求める女性ファンが球場に殺到し、混乱の中でのアクシデントだった。

   また、角界でも過去にファンとの接触による事件が起こったことも。それは1992年12月の長崎県五島市での巡業のこと。当時関脇だった貴花田(後の貴乃花)が、花道で男子高校生に背中を平手で強打された。この行為の報復として貴花田が男子高校生に平手打ちをして大騒動になった。この様子を見ていた関係者によると、男子高校生の行為は、相撲ファンが力士の背中をたたくものと異なり、かなり強い力でたたいという。お返しの平手打ちは余計だったが、当たり所が悪ければ負傷していた可能性もあっただけに、悪質なファンの行為が問題視された事件だった。

   事件性という点において、上記の事件とは大きく異なるが、芸能界でもファンとの接触による事件が社会問題化したこともある。2014年5月に岩手県滝沢市で開催されたAKB48の握手会イベントにおいて起こった事件がそれである。イベントの最中に、のこぎりを持った男がグループのメンバー2人とスタッフ1人を切りつけて負傷させ、殺人未遂の容疑で現行犯逮捕された。

シーズン中の警備は大丈夫か

   プロ野球では近年、シーズン中の入場券やグッズ、選手のサインなどがネットで転売されるケースが多くみられ、悪化するファンのマナーに各球団は頭を抱えている。入場券の販売に関しては、いくつかの球団が販売方式を変更するなりして改善の兆しが見え始めたが、グッズや選手のサインの転売については手付かずといったところで、まだまだ改善の余地はある。

   今回、松坂のケースは警備スタッフが配備されたキャンプ中の出来事だけに事態は深刻だ。プロ野球関係者は「このままでは、各球団がファンへのサインを禁止する事態に発展しかねない。今回の事件がキャンプ中に起こった事実を各球団ともに重く受け止めているはず。1億、2億円プレーヤーがファンによって傷つけられ、シーズンを棒に振ることになれば、球団にとっては大きな損失。今回の事件が球界に与えた影響は非常に大きい」と警鐘を鳴らした。

   シーズンに入れば宿泊施設などにファンが押し掛けることも予想され、悪質なファンを制止することはより困難となる。サイン、グッズなどの転売防止はもとより、選手の体を守るためにもキャンプでの再発防止策、そしてシーズン中の防止策は急務となる。