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楽天の「応援歌刷新」に怒りと戸惑い 取りやめ求める署名活動も

   プロ野球の楽天の応援歌刷新問題が大きな波紋を呼んでいる。楽天は2019年2月18日、今シーズンの応援歌を刷新することを発表した。刷新理由について球団は公式ホームページで「楽天野球団と私設応援団の皆さまと繰り返し協議をさせていただいた結果、著作権の問題等を踏まえ、2019シーズンは応援歌を刷新させていただく運びとなりました」と説明したが、ネットではファンの怒りの声が殺到し、応援歌変更の取りやめを求める要望書が出る混迷ぶりを見せている。

   応援歌の刷新については球団の公式ホームページでの発表に先んじて、2月16日にイーグルスドームで行われた応援決起集会で「先行発表」。同集会は楽天ファン200人限定で開催されたもので、昼の部(14時~)と夜の部(17時~)の二部制で行われた。同集会で球団が応援歌を刷新する経緯が説明され、新応援歌が披露された。

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応援歌刷新は私設応援団の提案?

   同集会の昼の部に参加したファンがアップしたとみられる動画では、司会者が「2018年シーズンが終了してから私設応援団のみなさんと球団とで色々話し合いを行い、2019シーズンは神俊雄さんが応援プロデューサーとなって応援歌を作っていくことになりました」と発表すると会場は一瞬、静まり返り、不満の声がもれた。

   動画では、司会者が応援歌刷新の経緯について説明する場面もみられる。司会者は「応援歌についてなんですけど、神(じん)プロデューサーから既存曲と新曲の使用について提案しまして、私設応援団の方々からすべての応援歌を一新したいと提案を受け、新応援歌が発表ということになりました」と、私設応援団からの提案によるものだと説明し、球団から発表された著作権の問題については触れられていない。

   プロ野球の私設応援団による応援歌の著作権問題はたびたび取り上げられ、2005年には逮捕者が出る事件も起きている。阪神の一部の私設応援団が、作者不詳の阪神タイガース応援歌「ヒッティングマーチ(1番・2番)」の作詞・作曲者を自身の私設応援団のものに仕立て、不正に著作権使用料を受け取っていたとして、著作権法違反容疑で私設応援団会長が兵庫県警により逮捕された。

   今回の楽天の応援歌刷新は、これらの予防策の一環と見られるが、シーズンを約1カ月後に控えた時期の突然の発表にファンからは怒りの声や戸惑いも。WEB上でオンライン署名収集を行うサイト「Change.org」では、2月17日に一部ファンが「楽天イーグルス球団主導による応援歌変更の取りやめを求める要望書」をアップし、18日12時30分現在で300人以上が賛同している。

「正当な理由無しの私設応援団追放...」

   また、ネット上では今回の刷新に至った理由について様々な憶測が飛び交い、混迷を招いている。

「今までの楽天の良さが一瞬にしてぶち壊された事に怒りしか込み上げてこない」
「正当な理由無しの私設応援団追放」
「応援される側の球団がこうゆう応援歌作ったからそれでお願いしますって違うだろう!」
「応援団が使用していた曲の著作権の問題があるのなら楽天球団が著作権をもつ企業とできるだけの交渉をすべき」

   プロ野球の応援歌については、次のような事例もある。福岡ダイエーホークスの公式応援歌だった「いざゆけ若鷹軍団」が、球団の消滅にあたって存続の危機にあったが、多くの地元ファンに愛された応援歌との理由で、後を継いだソフトバンクは球団歌として制定。球団名の変更に伴い、歌詞の一部を変更したものの、今でも福岡のファンに愛され続けている。

   突然の球団からの一方的な「通告」にファンの不満は収まらず、ネットでは「応援ボイコット」を心配する声も見られ、事態は深刻さを増している。