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大坂の初戦敗退はコーチとの決別が影響? 専門家が指摘する「無意識」な部分

   テニスのドバイ選手権が2019年2月19日(日本時間20日)、UAE・ドバイで行われ、世界ランク1位の大坂なおみ(21)=日清食品=が、シングルス2回戦で世界67位クリスティナ・ムラデノビッチ(25)=フランス=に3-6、3-6でストレート負けを喫した。今年1月の全豪V以来の試合でまさかの初戦敗退にテニス界に衝撃が走った。

   大坂は2月12日に突如、サーシャ・バイン氏(34)とのコーチ契約の解消を発表。今大会は専属コーチ不在で臨んだが、周囲の不安そのままに初戦敗退となった。バイン氏との決別は大坂にどのような影響を及ぼしたのか。J-CASTニュースは、プロテニスプレイヤーのメンタルトレーナーを務める「IMTメンタルオフィス」(東京・千代田区)の阿部久美子氏に見解を聞いた。

  • 大坂なおみ(2018年9月撮影)
    大坂なおみ(2018年9月撮影)
  • 大坂なおみ(2018年9月撮影)

大坂の敗因を専門家が分析すると...

   今大会の大坂はイージーミスが目立ち、全般的に集中力を欠いた。序盤は感情を表面に出す場面があまり見られず、一見、平常心を保っているようにも見えたが、試合が進むにつれメンタル面の弱さが徐々に顔をのぞかせた。第2ゲームにはバックをミスした際、コートに座り込み、サンバイザーで顔を覆う場面も。結局、7つのブレークを許しての完敗で、女王らしいテニスは最後まで見られなかった。

   大坂の初戦敗退について、阿部氏は「テニスはパーソナルコーチが帯同してツアーを回る競技です。信頼していた人がいなくなった後、選手は無意識なところで安心感を喪失することがあります。これが今回の敗因のひとつだと考えられます」と指摘する。

   また、阿部氏はバイン氏との「別れ方」も試合に影響を及ぼすとの見解を示す。今回のコーチ解約に関して大坂は金銭的なトラブルを一切否定しており、「成功より、自分が幸せでいることが大事だった」と説明している。一方のバイン氏は2人の関係については深く踏み込むことなく、自身のツイッターで大坂への感謝の言葉を綴っている。

表面上「円満」解約も大坂の心を曇らせるのは...

   今回のコーチ解約は、真相は別として表面的は「円満」とされている。だが、今大会の大坂のプレーを見る限り、メンタル面での影響は大きいだろう。阿部氏は「大坂さんが、コーチに対して『長い間ありがとう』というスッキリした気持ちではなく、バイン氏に対して苦々しい思いがあれば、それがマイナス感情となり、無意識の部分を曇らせてしまいます」と分析した。

   今大会は世界ランキング1位の女王として初めて臨んだ大会で、追う立場から追われる立場へと環境も大きく変わった。世界中から注目され、対戦相手のすべてが格下となり、試合に負ければメディアからの批判も避けられない。今まで以上に精神的重圧がかかるとみられるが、阿部氏はこれにも言及した。

   「気持ち的には追いかける方が楽です。試合に負ければ、スポンサー離れなども気にかかります。選手にとって一番大切なことは、自分が最も信頼でき、尊敬できる技術的なコーチを置くことで、メンタル面を整えることです」と、大坂の今後に関してメンタルの充実を課題にあげた。