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大丈夫?みどりの窓口を「券売機」に置き換え 京阪神では180駅→30駅に

   JR西日本が「みどりの窓口」を大幅削減する構想を発表し、ネット上では「不便になるのでは」と心配の声が出ている。

   今回発表されたのは、駅係員が常駐する「みどりの窓口」は新幹線駅や拠点駅を中心とし、その以外の駅では券売機で「みどりの窓口と同等のサービス」を提供するというものだ。

  • みどりの券売機プラス(T.shimaさん撮影、Wikimedia Commonsより)
    みどりの券売機プラス(T.shimaさん撮影、Wikimedia Commonsより)
  • みどりの券売機プラス(T.shimaさん撮影、Wikimedia Commonsより)

駅係員は「フロント業務」へ注力

   この構想は2019年2月19日、来島達夫社長の定例会見で明かされた。JR西グループは18年4月に発表した中期経営計画に「セルフ化の推進」を盛り込んでいる。切符の販売(出札)や改札業務などを省力化し、駅係員は接客を中心とする「フロント業務」へ注力。みどりの窓口の削減も、その一環として行われる。

   背景にはICカードでの乗車や、ネット予約・チケットレス化の普及がある。JR西が発行するICOCA(イコカ)の利用率は約75%。今後も利用可能エリアを広げることで、旅客の利便性向上につなげるとしている。また、「エクスプレス予約」や「e5489(いいごよやく)」といったネット予約サービスでも、窓口に並ばなくてもよいサービスを構築していくという。

   そのうえで、京阪神エリアに180駅(2018年度初時点)ある「みどりの窓口」を、2030年度ごろに30駅程度まで削減する目標だ。一方、「窓口と同等のサービス」を提供できるという「みどりの券売機プラス」は現在の50駅から100駅程度に。定期券を購入できる「高性能型券売機」は現在の70駅から、ほぼすべての有人駅に拡大する。

オペレーターと通話できる券売機

   みどりの券売機プラスは、一般的な券売機としての機能に加え、コールセンターと通話できる。手元のカメラに割引証を写せば、オペレーターの遠隔操作により、学生割引の乗車券なども発行できるのが特徴だ。しかし、今回の発表を受けて、ツイッターでは利便性を心配するユーザーが多い。

「お年寄りの受難は続く...」
「通学定期どうしろっての......オペレーターのクソ並ばなきゃじゃん」
「みどりの窓口でしか発券できないような切符購入がさらに面倒になる未来しか見えない」

   19年2月15日には、東海道新幹線などの主要駅で、券売機が長時間使えなくなるトラブルが起きたばかり。みどりの窓口に行列ができる様子は、テレビのニュースでも繰り返し流されたことから、何か障害が起きれば、数少なくなった窓口に、より人が集中するのではとの声もある。

時代が早すぎた「もしもし券売機Kaeruくん」

   券売機とオペレーターをつなぐ。先行事例として思い浮かぶのは、かつてJR東日本の駅に設置されていた「もしもし券売機Kaeru(かえる)くん」だ。みどりの券売機プラスと同様に、マイクとカメラでコールセンターにつなぐもの。05年から「みどりの窓口」を置き換える形で、一部駅に導入されたが、後に指定席券売機などに転換され、廃止された。

   ただコールセンター式の券売機では、JR東海が17年10月に「サポートつき指定席券売機」、近鉄が18年7月に「リモートサポート付定期券特急券自動発売機」、JR北海道が19年1月に「話せる券売機」を始めている。そう考えると、Kaeruくんは「早すぎた」のかもしれない。

   もっとも、2030年までには、さらなる技術革新も考えられる。いまから12年前には、初代iPhoneが発表された(日本上陸は翌年)。これほどまでにスマートフォンが普及するなんて、当時ほとんどの人が考えていなかっただろう。老若男女がすぐ理解できる操作方法で、そのうえ処理も格段に速い券売機が、それまでに登場すれば......と思うのは、いささか楽観的だろうか。

(J-CASTニュース編集部 城戸譲)