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スポーツ界で増える帰化選手の日本代表 競技別でみてみると

   バスケットボール男子の日本代表が2019年2月24日、W杯アジア2次予選最終節でカタールを破りW杯出場を決めた。日本代表のW杯出場は06年大会以来13年ぶりで、20年東京五輪出場へ大きく弾みを付けた。

   カタール戦のスターティングファイブに名を連ねたニック・ファジーカス(33)=川崎ブレイブサンダース=は、米国出身で元NBAプレイヤー。身長210センチ、体重111キロの体格を誇るファジーカスは今予選ではセンターとして日本代表の中心を担った。2012年に来日し、18年4月に日本国籍を取得したことで、元NBAプレイヤーの日本代表が誕生した。

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バスケ、サッカーの日本代表資格に共通する点は?

   国際バスケットボール連盟 (FIBA)は1989年にプロ選手の五輪出場を認め、92年バルセロナ五輪からプロ選手が参加。代表資格については、当該国の国籍を所有し、年代別代表を含む他国の代表を経験していない選手のみに資格が与えられ、前所属国の許可を受けている場合は、この限りではないとしている。

   日本のバスケット界ではこれまでに日本に帰化した選手は多数存在するが、日本代表として活躍した選手はごくわずか。一方、他競技に目を向けてみると、日本に帰化して代表入りしたケースが多いのがサッカーだ。また、ラグビーは当該国の国籍を所有しなくとも代表に入ることが可能で、代表入りの資格については競技によって様々である。

   サッカーの場合、日本代表入りするための資格は、当該国の国籍を持ち、すべてのカテゴリーで他国の代表歴のない選手に限られる。ただし二重国籍を取得する者には特例が設けられる場合もある。帰化選手の歴史をさかのぼると、ブラジルの日系2世のネルソン吉村氏(日本名・吉村大志郎)をはじめ、与那城ジョージ氏、ラモス瑠偉氏らが先駆者で、1998年フランスW杯には呂比須ワグナー氏が出場。これに続いて三都主アレサンドロ氏、田中マルクス闘莉王氏らが日本国籍を取得してW杯に出場している。

なぜラグビーは外国籍でも日本代表入りが可能なの?

   2019年に日本開催のW杯を控えるラグビーは、外国籍の日本代表選手が多いことで知られる。ラグビーでは、他国での代表歴がないことを前提として、次の3つの条件をひとつでも満たしていれば当該国の代表として国際試合に出場出来る。(1)出生地が当該国(2)両親または祖父母のうち1人が当該国出身(3)当該国に3年以上継続して居住している(2020年12月31日から5年以上の条件に変更される)

   このようにラグビーは当該国の代表になるための資格が他競技よりもハードルが低く、外国籍の選手でも条件さえ満たしていれば代表入りが可能となる。現在のラグビーの日本代表候補の3分の1ほどが外国籍の選手で占められるのも、このような背景によるものである。

   このように各競技によって代表資格が異なるが、世界的にみて代表資格が厳しいのが卓球だ。近年、中国からの帰化選手が世界的に増加の一途をたどり、国際的な問題となっている。米紙ニューヨーク・タイムズの報道によると、2016年リオ五輪の卓球選手172人のうち、少なくとも44人(中国代表6人含む)が中国生まれで、米国代表は男女6人のうち、5人が中国生まれだったという。

国籍変更問題が深刻な卓球連盟が取った措置とは...

   この問題を深刻に受け止めた国際卓球連盟(ITTF)は、同連盟主催の世界選手権やW杯などの国際大会において、21歳を過ぎて国籍を変更した選手は、これらの国際大会への出場を認めないとの規定を定めた。ただ、五輪に関しては国際オリンピック委員会(IOC)管轄のため効力は及ばず、IOCの規定に従う形となっている。IOCは帰化選手に関して、国籍変更後、3年間は新しい国の代表になることを認めておらず、公平性を保つために代表入りするまでに一定の期間を設けている。

   最近ではサッカーのアジアカップでカタール代表の選手の国籍違反問題が話題になるなど、中東ではサッカーや陸上の帰化選手が増加している。スポーツの国際化に伴い、アフリカや中国選手が国籍を変更するケースが世界中でみられ、スポーツ選手の国籍問題は年々深刻化している。