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ブルペンデー定着は「まだ時間かかる」 巨人6失点で見えたメジャーとの差

   巨人は2019年3月18日、東京ドームでMLBマリナーズとプレシーズンゲームに臨み、5-6で敗れた。巨人はこの日、中継ぎ陣を継投して起用する「ブルペンデー」を実戦で初めて導入。5人の中継ぎ陣が登板し、マリナーズ打線相手に6点を失った。メジャーリーガーの一発攻勢に泣き、シーズン中の導入に向けて課題が浮き彫りに。日本球界の先陣を切って初の試みを行った巨人だが、他球団関係者からは「時期尚早」との声が上がっている。

   マリナーズ戦では、大江竜聖(20)が先発のマウンドに上がり、坂本工宜(24)、戸根千明(26)、桜井俊貴(25)、中川皓太(25)ら中継ぎ陣がそれぞれ後を継いだ。9回は今シーズンからリリーフにまわる吉川光夫(30)が登場。巨人初の「ブルペンデー」は、若手中心の中継ぎ5人と、リリーフ吉川によって一応の形が完成したが、必ずしも成功だったとはいえないようだ。

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ブルペンデー流行するMLBの事情

   5人の中継ぎ陣のうち、最長イニングとなったのが先発・大江の2イニング。残り4人はそれぞれ1イニング途中で降板した。無失点で切り抜けたのは大江と戸根の2人だけで、坂本は3安打3失点、桜井、中川はともに一発を浴びて失点した。「ブルペンデー」のメリットは、細かい継投によって打者の目先を変えて的を絞らせないこと。原辰徳監督(60)は初の試みに一定の評価を下したが、その一方で中継ぎ陣の力不足を指摘した。

   原監督が指摘したのは中継ぎ陣の「球威不足」だ。先発、リリーフ陣に比べて巨人の中継ぎ陣は球威が劣り、現役メジャーリーガー相手に完全に力負けした。先発とリリーフの間のワンポイントで起用すれば、球速の変化で打者を惑わせる効果は見込まれるが、130キロ後半から140キロ前半の投手が続けば、いくら変化球でかわしても打ち込まれることは必至。シーズン中の導入に向けての大きな課題となる。

   そもそもMLBで「ブルペンデー」が流行の兆しを見せる大きな要因として、試合数の多さが挙げられる。日本の2倍以上の30球団で構成されるMLBのシーズン公式戦は162試合で、日本の143試合よりも19試合多い。しかも1軍に登録可能な選手は25人で、日本の29人(ベンチ入りは25人)よりも4人少ない。これらがMLBの投手陣に大きな負担をかけ、それは日本の比ではない。

アスレチックス中継ぎ陣は150キロ超を連発

   1軍が25人の選手で構成されるMLBでは通常、投手の登録人数は12人から14人で、20年シーズンから13人までに限定される見込み。この限定された投手陣でポストシーズンを見据えつつ162試合を戦い抜かなければならない。そこで苦肉の策として出たアイデアが「ブルペンデー」だ。より負担のかかる先発陣を休ませるため、中継ぎ陣だけで試合に臨むシステムがMLBで流行りつつある。

   中継ぎとはいえ、MLBには150キロを超える速球を投げる選手がゴロゴロいる。それゆえに成立するシステムで、日本球界に適したものかは疑問が残るところ。マリナーズとの開幕戦を控えて来日中のアスレチックスは17日に「ブルペンデー」で日ハム戦に臨んだ。8人の投手がマウンドに上がり、150キロ超を連発する投手が多く見られ、日ハム打線に許したのはわずか1点だけ。チームは5-1で完勝した。

   マリナーズ戦を視察したという他球団の関係者は「ブルペンデー」の導入に「日本では少し早いと思う」とした上で次のように続けた。

「いくら先発を休ませるためとはいえ、中継ぎだけに試合を任せるという球団は出てこないと思います。リスクが大きすぎる。中継ぎが総崩れしたら以降の試合に大きく響くし、投手陣のメドが立たなくなってしまう。メジャーリーガーと日本人投手の力の差はまだ大きいので、このシステムが定着するには時間がかかるでしょう」