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東大王・水上颯も参戦!「競技クイズのJリーグ」年間チャンピオンを勝ち取ったのは誰だ?

   日本クイズ協会が主催する「全国総合クイズ大会・JQSグランプリシリーズ」(協賛;トイダス)。この大会は、2018年7月に全国7都市で実施された予選(ペーパークイズ)の上位30名で「トップリーグ」、31位から70位までで「ミドルリーグ」を編成。9月、11月、19年1月の3回にわたって「レギュラーシーズン」を戦い、累計ポイントで順位を決めるという、まさにクイズ版「Jリーグ」とも言うべき壮大な大会だ。ミドルリーグの上位4名と、トップリーグの下位4名が次年度に入れ替わるという点も大会の特徴だ。

   そして、2019年3月30日、東京・池袋のイベントスペース「Grafica」で、「JQSグランプリファイナル」が開催された。トップリーグの総合成績トップ10が集結し、年間チャンピンオンを決める頂上決戦である。

   出場者はレギュラーシーズンの成績順に、奥畑薫さん、徳久倫康さん、石川貞雄さん、渡辺匠さん、登里俊之さん、水上颯さん、松本裕輔さん、田中佐喜雄さん、武藤大貴さん、五十嵐実さんの10名。

  • 「JQSグランプリファイナル」にはトップリーグの総合成績トップ10が集結した
    「JQSグランプリファイナル」にはトップリーグの総合成績トップ10が集結した
  • 「JQSグランプリファイナル」にはトップリーグの総合成績トップ10が集結した
  • ファイナルはファーストステージ、セカンドステージ、準決勝、決勝の4ラウンド制で行われた

年間成績上位者ほど有利なシステム

   ファイナルはファーストステージ、セカンドステージ、準決勝、決勝の4ラウンド制で行われた。レギュラーシーズンの順位上位者ほど有利なシステムとなっており、下位者ほど過酷な勝ち上がりが求められる。

   ファーストステージは6位〜10位の5名が参加し、7問正答で勝ち抜け、3問誤答で失格の「7◯3×(ナナマル・サンバツ)」のルールで戦う。水上颯さん、松本裕輔さん、田中佐喜雄さん、武藤大貴さん、五十嵐実さんの顔合わせとなった。問題の難易度が高く、松本さんがまず3×で失格となる展開。そして難問が得意な武藤さんが2×を背負いながらロシアのチェスプレイヤー「カスパロフ」を答えて1抜けする。その後最年長プレイヤー五十嵐さんが失格となると、田中さんと水上さんの一騎打ちに。

   最終的に田中さんが6◯0×、水上さんが6◯2×という状況で、水上さんが「蜜源植物」を正答して薄氷の勝ち抜けを決めると、会場はドッと湧いた。敗退した田中さんは「水上君と2ショットになった時点で100%アウェーでした」と笑いを誘うコメントを残しながらも、悔しさを滲ませた。

   セカンドステージは年間3位の石川貞雄さん、4位渡辺匠さん、5位登里俊之さんの3名に、1stステージを勝ち抜いた武藤さん、水上さんの2名を加えた5名での7◯3×対決。

   まずは家具会社「カリモク」を答える問題で、出身地の愛知県に関する問題を引き当てた石川さんが1抜け。残り1席を争う戦いは、6◯2×でリーチ状態で、確実な問題を待っている武藤さんを、水上さんが3◯2×から猛追し、ついに並ぶ。しかし最後は映画『バッグダッド・カフェ』の舞台を問う問題で「モハーヴェ砂漠」を答えた武藤さんが振り切り、セカンドステージを抜けた。惜しくもセカンドステージで敗退となった水上さんは「スタートダッシュをきれなかったのが敗因」とコメントした。

   続く準決勝はセカンドステージを勝ち抜いた石川さん、武藤さんに、いよいよ「ラスボス」の2名、年間1位の奥畑薫さん、2位の徳久倫康さんが加わり、4名で争われた。ルールは20問限定の早押しボードクイズ。早押し形式だが、押さなかった人も全員に回答権があり、ボタンを押して正解すると3ポイント、押さずに正解しても1ポイント獲得できる。逆に誤答はボタンを押して誤答すると-3ポイント、押さなかった人が間違えてもペナルティはない。

   序盤は女王・奥畑さんが着実に3ポイントを重ねて13ポイントまでリードを広げるが、石川さんが3問連続で3点を取る追い上げを見せる。すると、奥畑さんが痛恨の誤答で3点を失うと、そこからリズムを崩す。これを尻目に、石川さんが1抜けした。

   その後、今度は徳久さんが追い上げを始める。「ウィンザーの陽気な女房たち」が答えの問題で、徳久さんが「ウィンザーの陽気な女房」と「たち」を抜いた回答をしたところで、審議に。この問題が誤答になると大ピンチになるところだったが、「坪内逍遥の訳題では『たち』はついていなかった」と、正答判定に。これで徳久さんは命拾い。そのまま2抜けで決勝に進んだ。

   序盤の快進撃から失速し、逆転された奥畑さんは、「あの誤答でリズムが崩れた」と無念の弁。登場までの待ち時間が長かったことも影響したようだ。

決勝は緊迫の「タイマン」戦

   そして決勝。ルールは早押しのないボードクイズだ。7ポイントで勝敗を決める。問題を最後まで聞いて書く、まさに知識のガチンコ勝負。徳久さんと石川さんの一騎打ちとなったこの戦い、1ポイント差で石川さんがリードを保ち、6対5でリーチをかけた。

   「クニオ・ナカムラ」。日系のパラオ大統領を答える問題で徳久さんが追いつく。どちらもリーチとなった後は、「千畳敷駅」を「千畳敷カール駅」、「ニル・アドミラリ」を「ニル・アドミラル」と答えて勝利を逃した徳久さんに対し、石川さんも「ガブリエルのラッパ」を「ラファエルのラッパ」と答えるニアミス。この展開には会場もそろって固唾を呑む。そして最後、孟子の唱えた性善説の 4つの心のうちの1つを問う問題で、徳久さんが「惻隠(そくいん)」と答えて正解。初代の王者に輝いた。

   優勝した徳久さんに勝因を尋ねると、「なんでしょうね(笑)。最後のボードでニアミスが続いた時には焦りました。ああいうのが続くと折れちゃうことが多いのですが、諦めなかったことがいい結果に繋がりました」と激戦を振り返った。

   ほぼ1年かけて実施されたこのシリーズ、問題作成を担当した田中健一さんも、「まさかここまで接戦になるとは思ってもいなかった」と言うほどの結末。

   主催の日本クイズ協会代表理事・齊藤喜徳さんは、「クイズの普及と地位向上を目的とする協会の狙いは、この大会でかなり実現できたと思います」と満足げ。

「第2回の今年も、海の日(7月15日)に予選を実施する予定です。エントリーは5月上旬から開始する予定ですので、今年より多くの皆さんに出場していただけるよう、工夫していきます」