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令和フィーバーで注目 太宰府名物「梅ヶ枝餅」とは

   新元号「令和」の由来となった「梅花の宴」が(8世紀に)開かれた地、「大宰府」(現・福岡県太宰府市)に注目が集まっている。

   ツイッターでは、同市にある「学問の神様」を祀る神社として名高い太宰府天満宮を訪れる人が増えそう、といった予測に加え、天満宮参道の門前町などで販売されている名物の和菓子「梅ヶ枝(うめがえ)餅」の人気も高まりそうだ、との見立てを披露する人も相次いだ。「梅ヶ枝餅」って何? という人のために、J-CASTニュースが現地の「太宰府梅ヶ枝餅協同組合」に話を聞いた。

  • 新元号「令和」で注目が集まる太宰府名物の梅ヶ枝餅
    新元号「令和」で注目が集まる太宰府名物の梅ヶ枝餅
  • 新元号「令和」で注目が集まる太宰府名物の梅ヶ枝餅

「流行る予感」「爆売れやろ」

   2019年4月1日昼に菅義偉官房長官が新元号を発表すると、典拠(万葉集の「梅花の歌三十二首」の序文)に関する注目も集まった。序文は、当時の大宰府政庁の長官(大宰帥)だった大伴旅人の邸宅で開かれた際に詠まれた歌32首につけられたもので、「大宰府」「梅」に縁が深い太宰府天満宮への関心も高まった。J-CASTニュースも1日、「太宰府が『令和の聖地』に? 天満宮『感動・感激しております』」の記事を配信した。

   こうした中、ツイッターでは太宰府名物の「梅ヶ枝餅」に関するつぶやきも増えている。1日から2日にかけて

「梅ヶ枝餅がバカ売れしそう」
「大好きな梅ヶ枝餅が流行る予感」
「令和ツアーで太宰府天満宮の梅ヶ枝餅爆売れやろ」

といったツイートが相次いだ。太宰府天満宮など同市を観光で訪れたことがある人なら、必ずといってよい程、その名前が視界に入るであろう名物和菓子だ。

   一方で、「梅ヶ枝餅って何?」という人も多そうだ。どのような和菓子なのか。J-CASTニュースが地元の「太宰府梅ヶ枝餅協同組合」(加盟35軒)に話を聞いた。

   基本的には、お餅の生地に小豆あんを入れて焼き上げたものだ。生地にモチ米とうるち米の両方を使っており、香ばしいのが特長だ。梅の実や花びらが入っている訳ではない。

   由来は、天満宮がその「ご神霊」をお祀りする菅原道真公(845~903年)にまつわる次のような伝説にある。――道真公が大宰府に配流される際、公への食事提供を制限・禁止する命令が出たため、公は食事にも事欠く状況になった。こうした暮らしぶりを見かねた近くの老婆(浄妙尼)が、公がお好きだった餅を梅の枝にさして差し上げた(食事の提供ではない、という形にした)――のちに、この伝説をもとに梅ヶ枝餅が江戸時代から販売されるようになったという。

消えた「元祖」「本家」

   梅ヶ枝餅が商標登録されたのは1953年。同年に協同組合も発足した。一時は「本家」や「元祖」を掲げるところが何店も並立する状況もあったが、のちに組合の取り決めで「元祖」や「本家」の表現はやめることとし、現在では「名物」などとうたう様になっている。

   協同組合の不老安正理事長は、新元号発表で太宰府に注目が集まっていることをうけて、

「歴史ある梅ヶ枝餅は、最近では海外からの観光客にも人気が高まっているところですが、今回のことで、より多くの日本人にも知って頂けそうです。私たちもさらに頑張っていきたい」

と期待を語った。

   現地の店で焼き立てを食べるのは格別だが、遠方からでも加盟各店のネット販売で冷凍ものを購入できる。冷凍ものを販売している店も各地にあり、デパートなどの物産展で焼き立てを提供するケースもある。

   ところで、「祝 令和」などの文字が入った梅ヶ枝餅が販売される予定はあるのだろうか。不老理事長によると、「もしやるとすれば、各店単独ではなく組合で決めてからになります。現段階では、何も決まっていません」とのことだった。

   太宰府市への観光客は、太宰府天満宮への参拝客を中心に近年は年間約1000万人に達している。