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立憲、また「ヘイト」で擁立見送り お粗末「身体検査」のナゼ

   立憲民主党は2019年4月2日、夏の参院比例区で公認していた弁護士の落合洋司氏の公認を取り消すと発表した。過去のツイッターの投稿がヘイトスピーチだとして批判を受け、落合氏が出馬取りやめを表明したためだ。

   立憲は3月26日、神奈川県議選に立候補予定だった飯田強(つよし)氏の公認を、過去のヘイト投稿を理由に取り消したばかりだ。落合氏が17年10月の衆院選に出馬した際には自民党からの公認を目指すなど、元々は立憲民主党の考え方とは距離があったとの見方も根強い。立憲は、落合氏の擁立を「4~5か月、お話し合いをさせていただきながら」(福山哲郎幹事長)決めたというが、候補者の「身体検査」のあり方が改めて問われそうだ。

  • 参院選の出馬を辞退した落合洋司弁護士(写真は立憲民主党の記者会見動画から)
    参院選の出馬を辞退した落合洋司弁護士(写真は立憲民主党の記者会見動画から)
  • 参院選の出馬を辞退した落合洋司弁護士(写真は立憲民主党の記者会見動画から)

落合氏のツイート内容報道で「分水嶺越えた」と有田議員

   ネット上で問題視された落合氏のツイートは

「韓国のようなごろつき、三等国家の大使館が、港区の中心部にあるのは目障りだし迷惑」(2月10日)

といったもの。3月下旬になって批判が加速し、落合氏は3月31日になって

「私は、これまで一切の差別に反対する立場で、それは今後も変わりません。また、私のこれまでのツイッターの政治関係の過去ツイートには私自身の信条とはかけ離れた評論家的な発言もあり、他国の政治姿勢への批判が行き過ぎたものがございました」

などと釈明。この時点では「今後とも精進して参りたいと思います」とするにとどめていた。だが、直後に立憲内部からも批判が噴出。これが出馬辞退につながった可能性もある。

   東京スポーツが4月1日、「謝罪も出馬辞退せず 前例との矛盾に批判」の見出しで、落合氏の具体的なツイートの内容を紹介しながら

「落合氏のヘイトは過去に掲載された内容が真実とするならば、悪質度や執拗さでは飯田氏と同等かそれ以上だ。謝罪が本音ではない可能性がある。国政選挙では立場も責任も異なる」

などと論評。この記事を有田芳生参院議員がツイッターで引用しながら、

「党内のことですから党内で解決するように努力してきました。しかし東スポで報じられたことでもはや分水嶺を越えました」

などとして、党として何らかの対応が必要だとの見方を示した。参院大阪選挙区から出馬予定の亀石倫子(みちこ)弁護士も、

「刑事司法のさまざまな課題に取り組みたいと考えている私にとって、元特捜検事の擁立は『心強い』と感じました。特捜検事の経験があるからこそわかることがあると思ったからです。しかし撤回しなければなりません。同じ方向を向いて仕事ができるとはとても思えません。残念です」

と失望感をツイートし、立憲民主党の公式アカウントもリツイート(拡散)した。なお、落合氏は検事出身だが特捜部に所属していたことはなく、亀石氏は後に訂正している。

2017年の衆院選では、当選時には「自民党の追加公認」求めると表明

   一夜明けた4月2日の11時10分、落合氏は問題となったツイートについて

「特定国に対する批判的なツイートの中でのものであり、人種や民族、人々に対する差別を意図したものではありませんでしたが、表現、内容が極めて不適切なヘイトスピーチでした」

などとツイッターで謝罪するとともに、出馬を辞退し、公認が取り消されたことを明らかにした。直後の11時26分、立憲は

「落合氏のSNSにおける一連の投稿は、ヘイトスピーチであり、党としては、到底、容認できないことを確認した」

などとするコメントとともに、落合氏の出馬辞退と公認取り消しを発表した。

   落合氏は17年10月の衆院選に広島4区から無所属で立候補。比例中国ブロックから転じた新谷正義氏(自民)が当選し、落合氏は6人いた候補者のうち得票が最も少なかった。落合氏は当時のブログで、「いろいろな紆余曲折を経て、無所属(保守系)での立候補」で、当選した際には自民党の追加公認を求めることを表明。政策としては

「教育の全面無償化や働き方改革、雇用制度の改革(非正規労働者の正規労働者化)、憲法の基本理念を尊重した現実的な憲法改正」

を掲げていた。

   こういったことが念頭にあるのか、19年2月26日の出馬会見では、福山哲郎幹事長が

「このたび立憲民主党の政策理念に共鳴するとのことで、強い思いを持って、立憲民主党からの立候補をしたいという思いの中で(中略)4~5か月、お話し合いをさせていただきながら、今日、比例での公認を発表させていただくことになりました」

などとして、意思確認に時間をかけたことを明かしていた。

   落合氏は自衛隊機に対する韓国軍のレーダー照射事案が問題化した19年1月にも、ツイッターで

「逆ギレ嘘つき国家を相手にしても無意味。実効性ある制裁へと進むべきだろう」
「自省できない反日国家と水掛け論していても不毛で無意味。断固たる制裁措置を発動すべき」

などと主張していた。立憲は「4~5か月」にわたって落合氏の公認を検討する間、一連のツイートを確認しなかったか、確認しながら問題視しなかったことになる。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)