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「令和」時代の株価、出足は順調か マイナス材料吹き飛ばす「お祝いムード」

   新しい「令和」時代の株価は、期待できる――。そんな声が聞こえてきた。

   新元号が発表された2019年4月1日、東京証券取引所の電光掲示板には「令和」の文字が表示され、「お祝い」ムードを盛り上げた。その背景に米国の株高などがあったものの、日経平均株価は終値で、年度末の3月29日と比べて303円高の2万1509円3銭。一時は473円まで上昇した。

   新しい天皇陛下が即位して「令和元年」の幕が開いた。祝賀ムードが高まるなか、連休明けから「ご祝儀相場」が盛り上がるかも......。

  • 「令和」の株価は期待できるかも……
    「令和」の株価は期待できるかも……
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アベノミクスの「終焉」も不安視されるが......

   そんなお祝いムードの一方で、「アベノミクス終焉論」がくすぶっている。米国の中国や欧州との貿易協議の行方や英国の欧州連合(EU)離脱問題などの行方が不透明で、トランプ米大統領の「米国第一主義」にみられる「保護主義」的な考え方が、世界経済を不安に陥れている。

   国内での懸念材料は、なんと言っても「消費税」。じつは、消費税は平成元年4月1日に3%でスタートしたのがはじまり。令和元年10月には、税率が10%に引き上げられる予定だ。減速ぎみの世界経済に加え、安倍首相の側近、萩生田光一幹事長代行の「消費増税見送り、衆院解散で信を問う」との発言もあって、にわかに「増税撤回」説が浮上してきた。

   「令和元年」と「平成元年」との類似点を指摘する声もあり、「失われた20年」「デフレ経済」への不安が頭をもたげる。

   「ひと言でいえば、バブル崩壊とその後の停滞の時代ですね」――。モンゴルのハーン銀行独立取締役で、経済アナリストの小田切尚登氏は「平成」の株式相場を、そう振り返る。

   日経平均株価は、昭和の終わり(1989年1月6日終値)に3万209円54銭。89年のピーク(12月29日終値)が史上最高の3万8915円だった。それが平成最後(2019年4月26日)は2万2258円73銭で引けた。

   リーマン・ショック後はアベノミクスの効果もあって、株価は持ち直してきたが、「株式投資家のセンチメントはまだまだ疑心暗鬼です。投資家の多くを占める60代が元気だった30代に『痛い目』にあっているので、株にはいい思い出がない。そのため、まだ株式相場をネガティブにとらえる風潮があります。株価は今の2万2000円くらいがちょうどいい。もうこれ以上は行かない、という雰囲気があります」と話す。

強い米国経済にけん引されてポジティブ

   とはいえ、「平成」は昭和天皇崩御の自粛からのスタートだった。昭和64年(1989年)1月7日に昭和天皇が崩御。その日のうちに明仁皇太子(現・上皇さま)が皇位を継承した。翌8日に元号「平成」が発表された。慌ただしく、新たな門出を祝う雰囲気ではなかった。

   それと比べると「令和」は十分な準備ができており、5月1日午前0時の日本各地はお祝いムード一色。花火が上がったり踊ったりのお祭り騒ぎとなった。明治神宮に多くの参拝客が訪れたり、皇居や赤坂御所の周辺には天皇皇后両陛下をひと目見ようという人であふれたり、明るいムードが広がっている。

   「株式相場はムードが大事」なのであれば、勢いはつきそうな気配はある。

 

   前出の小田切氏は、「今後1年間くらいの株式相場は、ポジティブに考えられるのではないでしょうか」と、みている。その理由は、

(1) 日本をはじめ米国も欧州もまだまだ低金利政策を続けていくとみられ、それが株価を維持する方向に作用する。
(2) 日本経済の状況は安定的で、日本企業の業績は悪くない。日本経済新聞によると、PER(株価収益率)も14倍台で、これは今の株価は割高ではないことを示している。
(3) 史上最高値を付けたばかりの米国株だが、まだまだ強い。米国の国内総生産(GDP)は2019年1~3月期に年率換算3.2%の増加と強かった。貿易政策など、トランプ政策には疑問符がつく面もあるが、それでもこれだけ株式相場がよいということは、それが改善されればさらによくなる可能性を示しているともいえる。

   という。

   小田切氏は、2020年の東京五輪・パラリンピックの開幕前のタイミングで「日経平均株価が2万8000円をつける」というシナリオを描いている。まだまだ強気で、イケるかもしれない。