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湘南「誤審」問題、「SNSで選手が審判のミス語るのは好まない」 元代表・岩政氏、賛否呼んだ発言の真意説明

   サッカーJ1での「誤審」に声をあげる現役選手らに「違うと思う」と釘を刺したことで賛否両論が集まった元日本代表DF岩政大樹氏(37)が、ブログを更新し、発言の真意を説明した。

   2019年5月17日の第12節・浦和レッズ-湘南ベルマーレ戦で、湘南のMF杉岡大暉のシュートが明らかにゴールネットを揺らしたものの、主審がノーゴールの判定を下した問題で、現役選手は続々とツイッターで「笑いをこらえきれないくらいひどすぎる」(鹿島アントラーズMF三竿健斗)、「これでノーゴールの判定はありえない」(ヴィッセル神戸FW渡邉千真)などと判定を批判していた。

  • 岩政大樹氏のブログより
    岩政大樹氏のブログより
  • 岩政大樹氏のブログより

「あの判定を見たら『ありえない』をつぶやく気持ちは当然よく分かる」

   こうした中、岩政氏はツイッターで「大誤審は大誤審。ただ、それをわざわざ寄ってたかってSNSで取り上げる必要ってあるのでしょうか。ファンの方たちはまだしも、選手たちは違うと思います」と、選手がSNSを通じて誤審問題に言及することを疑問視した。すると一般ユーザーからは、

「選手が声を上げないと、もうこれからも何も変わらない」
「選手が1番言う権利あるでしょ。さすがに」
「誤審は誤審。現役選手からしたらあり得ないことと思う。しかしSNSにて選手の口からはあんまり聞きたくない」
「たしかに選手にはそんなこと言ってほしくない。時代なんですかね?やはり呟かずにはいられない」

と賛否の声が多数寄せられることになった。リプライは280件超にのぼる。

   岩政氏はその後も、ユーザーの質問に答える形でツイッターを順次更新。「自分がピッチに立っていたら納得できるか?」という問いに「納得することとSNSで発信することは別問題です」と答えるなど、細切れに自身の考えを投稿した。

   ブログが更新されたのは18日午後。ツイッターで寄せられた賛否両論を受け、改めて長文で見解を寄せている。

   誤審そのものについて岩政氏は「ありえない。皆さんと同じように私も同じ感想です」と断罪しており、「『ありえない』をそのまま口にするのが世間の風です。特にTwitterは"つぶやき"ですから、あの判定を見たら『ありえない』をつぶやく気持ちは当然よく分かります」とツイッターの流れにも理解を示した。

   一方、Jリーグ側が正確な判定を期すための取り組みを重ねていることにも触れ、特にJ1の審判は「選手たちとゲームを作っていこう」とするスタンスが見えるようになったと評価した。なお岩政氏自身はゴール判定の精度向上のために「『ゴールラインを割ったかどうか』にだけビデオ判定を導入し、それ以外の判定については審判のジャッジに委ねる」という手法を提案している。

「お互いをリスペクトしなければどんどん離れていくだけ」

   こうしたことを踏まえ、「ゴールラインをめぐる判定に敏感になっているタイミングでまたしてもこのようなことが起こった。そのことを批判するよりも、これからなくしていくこと。そのための具体策が必要だと思います」として、「こういう場合の選手たちの発信の考え方について」も次のように見解を示している。

「私は、審判と選手は共演者であるべきだと考えています。敵対関係は必要ありません。試合の中ではもちろんぶつかりますよ。それは勝つためにプレーするのが仕事である選手と、公正に安全に試合を成り立たせるのが仕事である審判の方とでは、向かう目的が違うからです」
「しかし、サッカーを愛する気持ちは同じです。その試合を良いものにしたい。その気持ちも同じです。お互いがお互いをリスペクトしなければどんどん離れていくだけです。そうして、『あちら側』と『こちら側』でお互いを捉えているうちは、いつまでも良い関係にはなり得ません」

   その上で、

「だから、私はSNSで選手が審判のミスを取り上げて語るのは好みません。その先に根本の解決が見えるとは思えないからです。ミスはミスが起こる原因を掘り下げて、その原因に具体策を示すこと。関係の問題は、リスペクトした姿勢をまず自分自身がもつこと。SNSでミスを取り上げることは、そのどちらにも属しません」

と、湘南戦の誤審問題をめぐる現役選手らの発信に改めて疑問を示した。