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単身者だとスマホが高くなる? 同居前提の「家族割」は業界標準になるか

   au(KDDI)が発表した、スマートフォン向けの新料金プランが注目を集めている。

   「データ容量上限なし」をキャッチフレーズにする、auデータMAXプラン(2019年夏スタート予定)を筆頭に用意された新プラン。「最大4割値下げ」とされているが、単身者ではあまり恩恵を受けられないかもしれない。

  • 家族割が変わりつつある
    家族割が変わりつつある
  • 家族割が変わりつつある

従来の家族割は「離れて暮らす家族もOK」

   2019年5月13日に発表された新料金プランは、大きく分けて、低容量と中容量、大容量の3タイプ。それぞれ月々「1980円~」(新auピタットプラン)、「3480円~」(auフラットプラン7プラス)、「5980円~」(auデータMAXプラン)として、これまでのプランと比較して「最大4割値下げ」になるとKDDIは説明している。

   しかしプレスリリースをよく見ると、少し小さなフォントで「同居家族3人 1人あたり」「翌月から6カ月間」と添えられている。たとえばauデータMAXプランの場合には、通常の利用料金(8980円)から、auスマートバリュー(自宅回線とのセット割引)、auデータMAXプラン スタートキャンペーン(翌月から6か月間適用)、そして家族割プラスを適用した場合に「5980円~」になるという意味だ。

   ここでポイントとなるのが、新たにスタートする「家族割プラス」(10月提供開始)だ。これは2人以上で同一住所に居住する家族が条件(一部例外あり)となり、新プランでは2人の場合500円、3人以上で1000円が永年割り引かれるが、これまでの「家族割」の「離れて暮らす家族もOK」(au公式サイトより)よりも適用条件が厳しくなる。

   新プラン発表の背景には、政府の意向がある。菅義偉官房長官は18年8月、「携帯電話料金は4割値下げの余地がある」と発言。総務省の有識者会議は、スマートフォンなどの端末契約と通信料金を切り分ける、いわゆる「分離プラン」を前提として議論が進められた。そして19年5月10日、改正電波法と改正電気通信事業法の成立によって、「分離プラン」の義務化が決まった。

ソフトバンクは「シェアハウスの仲間」でも適用

   端末とのセット割引でない形で、「お得感」を見せるには――。少しでも安い印象を与えるため、家族割引適用後の料金を打ち出しているのは、ライバル会社も同じだ。しかし、その「家族」の定義は、社によって大きく異なる。

   NTTドコモの新プラン(6月1日~)では、家族2回線で500円、3回線以上で1000円引きとなる「みんなドコモ割」が導入されるが、これは従来のファミリー割引のグループ内が対象なので、同居していない家族でも適用される。

   ソフトバンクには、家族の人数に合わせて500~2000円を割り引く「みんな家族割+」がある。他社より「家族」の定義が広く、同居・別居家族だけでなく、同住所であれば恋人やシェアハウスの仲間にも適用されるのが特徴だ。なお同社は18年9月に分離プランを導入していて、さらなる新プランについては「微修正程度で対応できる」(19年5月8日の決算会見)との認識を示している。

   並べてみると、「家族割プラス」の適用条件は、他社よりかなり厳しいとわかる。しかし、横並びの料金やサービスになることが多い通信業界とあっては安心できない。他社が追随する可能性はゼロではないだろう。

(J-CASTニュース編集部 城戸譲)