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広島支える「気遣い」の力 OBが語る躍進の秘密とは

   リーグ4連覇を狙う広島の勢いが止まらない。広島は2019年5月19日、甲子園で阪神と対戦し5-1で勝利した。

   阪神との3連戦で全勝した広島は連勝を「7」に伸ばし、貯金を「6」とした。首位・巨人とゲーム差なしの2位につけ、5月21日にも首位に立つ可能性が。開幕から5カード連続での負け越しを経験しながらも、その後立て直してきた広島の強さはどこにあるのか。J-CASTニュース編集部は広島OBの木村昇吾氏(39)に聞いた。

   今シーズン、広島は最悪のスタートを切った。球団史上初めてとなる開幕からの5カード連続での負け越し。日本プロ野球史上、開幕から4カード連続で負け越したチームが優勝したことがないため、過去のケースと照らし合わせ、開幕してからわずか3週間でスポーツ紙の見出しには、「広島の優勝確率ゼロ」が躍った。だが、リーグ3連覇中の王者の反撃はここから始まった。

   4月17日からの8連勝を契機とし、5月に入ってからの同一カード負け越しは、4月30日から5月2日までの月をまたいだ阪神戦での1勝2敗のみ。7連勝のうち、広島が先制したのは実に6試合。投打がかみ合い、勝ちパターンが見え始め、王者本来の姿を取り戻した感がある。

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「私は全く不安視していませんでした」

   シーズンの開幕当初の不調に関して木村氏は「私は全く不安視していませんでした」とした上で、次のように続けた。

「丸選手や新井さんが抜けたことは確かに影響があると思います。しかし、今年は今年のチーム。長野選手も入ってきましたし、丸選手や新井さんが抜けたからといってチーム力が落ちるということはないと思います。レギュラーの多くがリーグ優勝を経験していますし、試合の勝ち方を知っています。そこが大きな強みであると思います」

   広島をけん引するのが若き主砲・鈴木誠也外野手(24)だ。5月20日現在、打率、本塁打、打点部門でリーグトップを走っている。開幕当初は鈴木が孤軍奮闘していた感はあったが、4月下旬以降は全体的に打線が上向き、中でも3番サビエル・バティスタ内野手(27)の好調ぶりが打線により厚みを与え、チームの上昇につながっているだろう。

「バティスタ選手は状況に応じたシュアなバッティングが出来ます。自身が置かれた3番という打順をきちんと理解しているように見えますし、振り回すことなく鈴木選手に繋げるバッティングを心掛けているように感じます。繋げるバッティングはバティスタ選手に限ったことではなく、チーム全体で徹底されているのでしょう。次の打者に回せば何かが起きる。このような気持ちを持つことで打線が『点』ではなく『線』となり、連打が生まれてくるのだと思います」(木村氏)

監督からの賛辞に「選手は意気に感じる」

   また、木村氏は緒方孝市監督(50)の選手への気遣いが、チーム躍進の大きな要因となっていると指摘する。

「緒方監督はいいプレーをした選手に対して賛辞の言葉を贈ると聞いています。私も現役時代、監督からプレーを褒められたことがありますが、選手にとっては非常にうれしいことです。緒方監督は現役時代、素晴らしい選手でしたから、その監督から『たいしたものだ』と言葉をかけられれば、選手は意気に感じると思います。負けていた時もすべての責任を負う発言をしていましたし、選手の緒方監督に対する信頼は非常に厚いと思います」