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原巨人のFA戦略は成功だったのか 丸・炭谷獲得も「精神的支柱」を失い...

   昨シーズンオフ、巨人のフリーエージェント(FA)戦略に注目が集まった。広島から丸佳浩外野手(30)、西武から炭谷銀仁朗捕手(31)を獲得。丸の大型契約が話題に上がる一方で、丸、炭谷の人的補償問題は球界に衝撃を与えた。

   長野久義外野手(34)が広島へ、内海哲也投手(37)が西武に移籍。チームの投打の精神的支柱が人的補償として流出し、ナインに動揺が広がったが、ペナントレース序盤戦を終えようとしている今、巨人のチーム状態はどのようなものになっているのだろうか。

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丸は3番定着、炭谷も好成績

   昨オフに球界の話題をさらった4選手の現在の成績を見てみたい。2019年5月23日現在、丸は開幕から全43試合に出場し、打順は5月4日から3番に定着している。158打数50安打7本塁打27打点をマークし、打率は316.と、3割を維持している。出塁率は428.と高い数字をマークしており、三振は35個と多いものの33個の四死球はチーム断トツのトップ。丸の選球眼の良さは相変わらずといったところだ。

   正捕手争いのさなかにいる炭谷は、15試合でマスクをかぶっている。巨人は開幕から原辰徳監督(60)の方針で捕手を固定せず、炭谷、小林誠司捕手(29)、大城卓三捕手(26)の3人で回してきた。正捕手の座を射止めるためにはリード面はもちろん、打撃が重要となってくるだろう。炭谷の打率は286.と、一定の結果を残しているものの、ライバル小林は打率299.で、大城は打率316.をマークし、出塁率は361.と高い数字を残している。

人的補償で移籍の長野と内海は...

   人的補償で移籍した長野と内海に目を向けてみると、ここまでの成績は芳しくはない。代打での打席が多い長野は、29試合に出場し2本塁打を放っているものの、打率は191.と低迷している。内海に限っては、左前腕部の張りで2軍での調整が続いており、今シーズン、1軍での登板機会はない。一部スポーツ紙は、前半戦の1軍昇格は絶望的と報じており、厳しい状況に置かれている。

   選手のここまでの数字だけを見れば、丸と炭谷はある程度、首脳陣の期待に応えるものだろう。ただ、チームの順位に目を向けると、丸を失った広島は5月23日現在、リーグ首位に立っており、丸、炭谷をはじめとする大型補強を行った巨人は2位に甘んじている。また、在京球団の関係者は昨オフのFAによる影響を次のように指摘した。

「長野と内海の存在価値の大きさを感じます」

「FAで移籍した選手がキャリアハイをマークするのは、過去の例を見ても分かる通り並大抵のことではありません。丸が加入したことで確かに打線に厚みが出て、炭谷を小林と大城とで競い合わせることでチーム力は上がったかもしれません。ただ、ここにきて改めて長野と内海の存在価値の大きさを感じます」

   前出の関係者は、チームが苦しい時の精神的支柱の必要性を訴える。打線は、開幕から好調を維持していた坂本勇人内野手(30)が下り坂で、主砲・岡本和真内野手(22)も打率256.と調子が上がらずにいる。投手陣はエース菅野智之投手(29)が腰の違和感で戦線離脱。中継ぎ陣、リリーフ陣は安泰と言える状況になく、不安定な状態が続いている。

「選手会長の菅野がチームから離れ、打線のリーダー的存在の坂本の調子が低迷しているこの状況にこそ、長野や内海が必要なのです。長野と内海は、若手からの信頼が厚いですし、今までは野手は長野がまとめ、内海は投手陣をまとめ上げていた。今の巨人に2人に代わるまとめ役がいるでしょうか。FAで失ったものは数字以上に大きいと思います」(前出の関係者)

   巨人は24日から東京ドームに首位・広島を迎えての3連戦を予定しており、広島との直接対決で首位奪回を目指す。