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巨人・坂本、史上初「2番で三冠王」も視野 球界の変革者となるか

   巨人・坂本勇人が開幕から驚異的なペースで打ち続けている。51試合出場で打率.340、19本塁打、41打点。打率はリーグ3位、本塁打、打点はリーグトップだ。

   2日の中日戦(東京ドーム)では左腕・ロメロから3回に逆方向の右翼に18号同点アーチを放ち、5回に左翼中段へ決勝弾の19号2ラン。「ホームランバッターじゃないので。1本でも多く打てるように頑張りたいなと思います」と謙遜したが、坂本はどのコースの配球にも対応できるのが大きな強みだ。スランプが短いため、安定した成績を残せる。怖いのは故障だけだろう。

  • 2019 MLB 開幕戦 プレシーズンゲームでの坂本勇人(写真:AP/アフロ)
    2019 MLB 開幕戦 プレシーズンゲームでの坂本勇人(写真:AP/アフロ)
  • 2019 MLB 開幕戦 プレシーズンゲームでの坂本勇人(写真:AP/アフロ)

確実性だけでなく、飛距離も伸びた今季

   坂本の打撃が大きく変化したのは16年だった。

   それまでは踏み込んだ左足と同時に上体も前に突っ込む打ち方だった。この打法は球を捉えるミートポイントが前になり、泳がされるような打ち方になる。13年は打率.265、14年は打率.279、15年は打率.269。疲れがたまった夏場以降に下半身に粘りがなくなり、打率を落とすシーズンが多かった。

   新打法に変化したのが16年だった。右足を軸にして回転で打つようになり、ミートポイントを体の近くまで引きつけて打つことが可能になった。ツーシーム、カットボールなど手元で変化する球種にも対応できるようになり、打ち損じが減った。16年に打率.344で首位打者を獲得。昨年も自己最高の打率.345をマークした。

   今季は確実性に加え、スイングの強度が増して飛距離も伸びている。広島・鈴木誠也、バティスタ、DeNA・ソト、筒香嘉智とライバルは多いが本塁打王を狙えるだろうし、三冠王も可能性は十分にある。

三冠王7人はいずれもクリーンアップ

   プロ野球の歴史で過去に三冠王を獲得した選手は7人。中島治康、野村克也、王貞治(2度)、落合博満(3度)、ブーマー、バース(2回)、松中信彦と球史に名を残した強打者の名が並ぶ。

   7選手に共通するのはチームでクリーンアップを担っていたこと。だが、坂本は違う。打順は開幕から「2番・遊撃」。吉川尚輝が腰痛で戦線離脱してから1番に入ったこともあったが、5月5日の広島戦(マツダスタジアム)から再び2番に固定されて打ち続けている。2番が打線の「つなぎ役」だったのは過去の話。2番でチャンスメーカーとして塁に出て本塁打も打てる。しかも守備の負担が大きい遊撃で三冠王を獲得したら大きな価値がある。

   坂本は日本球界の「変革者」になれるか。