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韓国国会議長「日本国民に謝った」 でも菅官房長官は「鳩山さんとの会談で、ですからね...」真意はどこに

   韓国の文喜相(ムン・ヒサン)国会議長が慰安婦問題をめぐって天皇陛下(現・上皇さま)に謝罪を要求した問題で、鳩山由紀夫元首相に対して「謝罪の意」を表明した。

   鳩山氏は、文氏が日本国民に対して謝罪したとの見方を示しているのに対して、菅義偉官房長官は苦笑いしながら「コメントを控えます」。鳩山氏が現地で日本政府の立場とは異なる主張を展開し、文氏はそれに「肯定的な評価」をしたこともあり、文氏の「謝罪」の真意は明らかではない。

  • 鳩山由紀夫元首相は、韓国の文喜相(ムン・ヒサン)国会議長が「日本国民に謝られたのである」と主張している(2015年撮影)
    鳩山由紀夫元首相は、韓国の文喜相(ムン・ヒサン)国会議長が「日本国民に謝られたのである」と主張している(2015年撮影)
  • 鳩山由紀夫元首相は、韓国の文喜相(ムン・ヒサン)国会議長が「日本国民に謝られたのである」と主張している(2015年撮影)

「盗人猛々しい」が一転...

   文氏は2019年2月のブルームバーグとのインタビューで、

「一言でいいのだ。日本を代表する首相かあるいは、私としては間もなく退位される天皇が望ましいと思う。その方は戦争犯罪の主犯の息子ではないか。そのような方が一度おばあさんの手を握り、本当に申し訳なかったと一言いえば、すっかり解消されるだろう」

などと発言。日本側は抗議し、謝罪と撤回を要求していたが、文氏は聯合ニュースのインタビューに対して、「謝罪する側が謝罪せず、私に謝罪しろとは何事か」「盗人猛々しい」などと反発していた。

   ところが、鳩山氏との会談では、それを一転させたかのような発言が出た。韓国国会の発表によると、6月13日に汝矣島(ヨイド)の飲食店で行った昼食懇談会で、鳩山氏が

「韓国人の立場では納得できるが、日本人にとっては天皇まで取り上げたのは失礼だと考えられる問題」

だと指摘したのに対して、文氏は「完全に共感する」「心を痛めた方々に謝罪の意を伝える」などと話したという。

日本政府は発言評価せず

   だが、日本政府はこの発言を評価していない。菅義偉官房長官は6月14日午前の会見で、苦笑いしながら「まあ、鳩山さんとの会談で、ですからね...コメントは控えます」と述べるだけだった。

   この発言を念頭に置いているのか、鳩山氏は6月15日夜、

「議長はご自分から自身の天皇陛下の謝罪発言のことを話し始められ、誤解された面もあったが申し訳なかったと謝罪をされた。私が求めた訳ではなかったが、前日の延世大学での私の講演録を読んでいておられた。私個人にではあったが日本国民に謝られたのである」

とツイート。文氏の「謝罪」の意義を強調した。

   鳩山氏は6月12日、ソウル市内にある延世(ヨンセ)大学の講演で、15年末の慰安婦合意の「最終的かつ不可逆的」という文言が「高圧的」だとして、日本人は謝罪の気持ちを持ち続けるべきだと主張。大法院(最高裁)が日本企業に対して元徴用工らへの賠償を命じた問題では、判決に従って、賠償金を支払うべきだと主張していた。文氏は、こういった鳩山氏の発言について「肯定的な評価」を示したという。文氏は「謝罪要求」問題について「謝罪」したとしても、それ以外の問題については、対日批判で鳩山氏と意見が一致した可能性もある。