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日中関係の改善、「人民日報」にクッキリ 来日&会談が1面トップに

   主要20か国・地域(G20)首脳会議が大阪で開幕するのを前に、中国の習近平国家主席が2019年6月27日に来日し、日中首脳会談に臨んだ。両首脳による会談は、アルゼンチン・ブエノスアイレスでのG20首脳会議に合わせて18年11月30日(現地時間、日本時間12月1日)に行われて以来、約7か月ぶり。

   過去に行われた国際会議では、他国首脳との会談が中国共産党の機関紙・人民日報の1面に載る中で、日中首脳会談は2面に回されるなど、冷遇が目立つ時期もあった。だが、今回は習氏の来日と日中首脳会談が1面に掲載。「日中関係は完全に正常な軌道に戻った」(19年1月18日・安倍晋三首相の施政方針演説)ことが紙面にも反映された可能性がある。

  • 6月28日付の人民日報。習近平国家主席の大阪到着を1面トップ、その次の項目で日中首脳会談を伝えている
    6月28日付の人民日報。習近平国家主席の大阪到着を1面トップ、その次の項目で日中首脳会談を伝えている
  • 6月28日付の人民日報。習近平国家主席の大阪到着を1面トップ、その次の項目で日中首脳会談を伝えている

前回の会談では2面の掲載だった

   習氏の来日は副主席だった09年12月以来9年半ぶりで、13年の国家主席就任後は初めて。6月28日付の人民日報は、習氏の日本到着をトップ項目で報じ、その次の項目で写真付きで日中首脳会談に触れた。記事では、習氏が

「日中間には、ますます多くの共有の利益と共通の懸念がある。今年は中華人民共和国の創立70周年を迎え、日本も令和の時代に入った。私たちは新しい時代に求められる日中関係を築くために共に努力しなければならない」

などと述べ、安倍氏が緊密なハイレベルの交流と対話を維持する必要性を強調した上で、20年春に習氏の再来日を求めたことなどが報じられている。

   なお、日中会談の次の項目では、文在寅(ムン・ジェイン)大統領との中韓首脳会談が報じられていた。

   前回の日中首脳会談の際は、人民日報(18年12月1日付)は1面トップに各国首脳の集合写真を掲載。個別の首脳会談では、ロシアのプーチン大統領、フランスのマクロン大統領、トルコのエルドアン大統領の3首脳との写真が1面に載り、日中首脳会談は2面の掲載だった。

2015年には明らかな「差別待遇」

   日中関係は、12年9月に日本政府が尖閣諸島(沖縄県石垣市)を国有化したのを機に、中国各地で反日デモが起き、日系商店が襲撃されたり、日の丸が燃やされたりして最悪の状況に陥った。

 

   首脳会談が行われた際も、しばらくはそれが影を落とした。例えば15年4月にインドネシアのジャカルタで開かれたアジア・アフリカ会議(バンドン会議)の会場で会談した際には、インドネシア、ミャンマーとの首脳会談では、国旗が首脳の後ろに置かれたが、安倍首相との会談では国旗はなし。人民日報の紙面ではインドネシア、ミャンマーとの会談は1面で日本は2面と、明らかな「差別待遇」を受けていた。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)