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「れいわ新選組」の候補人選、どう見るか 政治分野の識者2人に聞いた

   政治団体「れいわ新選組」の山本太郎代表(参院議員)は2019年7月3日、都内で記者会見を開き、今回の参院選で擁立する候補者を新たに2人発表した。

   候補者はこれで計10人に。重度障害のある人、元コンビニオーナー、難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)当事者をはじめ、多様な顔ぶれを擁立。れいわ新選組の狙いはどこにあるのか。J-CASTニュース編集部が政治評論家らに話を聞いた。

  • 新宿駅前で演説をする山本代表
    新宿駅前で演説をする山本代表
  • 新宿駅前で演説をする山本代表

山本代表「命の選別というものが合法化」

   集まった寄付金額に応じて、候補者擁立の規模を定めていくという方針は、ネット上で話題を呼んだ。4月10日の結党会見以降、7月3日時点で2億3100万円以上に及ぶ寄付の申し出があった。公約として打ち出している「消費税廃止」に注目する人もいる。

   2日に新宿駅前で開いた街頭演説。集まった人々を前に、山本代表は

「このれいわ新選組というグループで立候補者の方々に声を掛けたのは、本気の大人です。本気の大人。本当に必要ならば空気も読まずに、空気も読まずに本当のことを伝え、そしてそれを実行できるぐらいの胆力をもった方々ということです」

と、候補者を決めた狙いを明かした。

   候補者発表の会見冒頭、「生きづらさ」と「生産性」など特定のキーワードを交えて、社会の状況を表すこともあった。3日の難病のALS当事者の舩後靖彦氏の会見時には、再び「生産性」という言葉を使って、山本氏は、

「生産性で人の価値がはかられるような社会の先に何があるかというと、命の選別ということが行われるであろうと、そのように考えています。いま国会のなかを見てみれば、命の選別というものが合法化されていくという流れは、おそらく十分な議論もないまま進んでいきそうな雰囲気を感じています」

と警鐘を鳴らしていた。

木下ちがや氏「普段投票に行かないような層に発信力を持っている」

   J-CASTニュースでは3日、政治分野に詳しい識者に話を聞き、見解を聞いた。

   9人目の候補者が発表された後の段階で、政治学者の木下ちがやさんに取材。木下さんは、次のように答えた。

「消費税廃止というスローガンを打ち出して、ある意味では保守も含めてウイングを広げていく戦略をとった。既成政党とは差異をつけて、ある種のアウトサイダーとして殴り込んでいくスタイルだと思う。だけど今回の候補者を見ていると多様だが、立憲民主党だと耳が聞こえない方を出していたり、LGBTの方を出したりしている。差異を強調していたけど、立憲なんかとバラエティーのパターンがダブってしまうところがあった」。
「(山本太郎氏は)普段投票に行かないような層に発信力を持っている。今の日本社会の中で、安倍政権がまさにそうですが、閉塞感がある。野党側もそれにうまくビジョン出せていない中で、当然(山本氏が)出てきてしかるべきだと。だからといって勝つとは限らない。その辺りは、マスコミの人たちは過大評価している。れいわ新選組の支持率が野党第1党を超えるんじゃないか、という声はあったけど、朝日新聞の調査みれば0パーセント、投票先も1パーセント。ネットの中と外との温度差がある。そこをきちんと踏まえて冷静に、今後のれいわ新選組の展開を見なきゃいけない」。

有馬晴海氏「いろんなジャンルのことを考えている少数精鋭のチーム」

   10人目の候補者が発表された後、取材に応じた政治評論家の有馬晴海さんは、このように話した。

「身分・境遇というようなことで、れいわにふさわしいような人材を集めましたということでの候補者だと思う。障害のある人にもやさしい政党で、そういう人たちと一緒に国づくりをしますというのが売り。既存の政党とは違って、いろんなジャンルのことを考えている少数精鋭のチーム」
「どのぐらい投票に行くんだろうかっていうのは、ちょっと未知数なところがあって、(略)政権は担えないわけだから、だから、おもしろいという範囲がいまの段階」
「彼の行動力は、ほかの党の誰よりも『やらねばならぬ』という姿が見えるというような評価があって、演説すれば『おもしろい』。みんながネットで、『おれ行ったおもしろい』と書いてあると、『おれも聞いてみたい』という人がまたいて。ネットがないころは人海戦術で、数が多いとその分、街で演説する人が多かったが、ネット社会になってくると、ネットでみんなが見て注目されることになっていきますので、そういう意味で彼の戦術もすごい。ちょっと議員の中では変わり者だと言われているけど、突き抜けて行動しているようなことを国民のなかである一定の評価をする人が一定の割合いるだろうというようなことも想像ができる」

(J-CASTニュース編集部 田中美知生)