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体罰で傷害罪→定年→再任用→また体罰 そんな先生を教壇に立たせる、県教委の言い分は?

   大分県内の中学校で体罰事件を起こした60代の男性教師が、定年後に再任用されたのちにも体罰を繰り返して、県教委に疑問の声が相次いでいる。

   なぜ再任用したのか、今回の処分はどうなるのか、県教委に話を聞いた。

  • 再任用後に教室でまた繰り返された(写真はイメージ)
    再任用後に教室でまた繰り返された(写真はイメージ)
  • 再任用後に教室でまた繰り返された(写真はイメージ)

再び同様な体罰をして、一時自主謹慎したが...

   大分県の臼杵市教委などによると、市立中学校のこの男性教師は2019年6月14日の放課後、教室で紙鉄砲を鳴らして遊んでいた生徒に対し、うるさくて隣の教室の迷惑になると、複数回注意をした。それでも聞かないとして、この生徒を後ろに押し倒し、生徒の首を片手で締め付けるように床に押さえ付けた。

   学校教育課では、生徒の保護者から診断書の提出がなく、ケガの確認はできていないとJ-CASTニュースの取材に説明したが、一部報道では、生徒は首をねんざし、あごにも痛みがあるという。教師は、柔道の有段者でもあった。

   教師はその後、自主謹慎したが、7月1日からは教壇に立っている。生徒も学校に通っているという。

   実は、この教師は、18年4月も大分市立中学校で2年男子生徒に体罰問題を起こした経歴があった。

   下校時刻を過ぎても指導に従わなかったため、自転車にまたがっていた生徒の首を左手でつかんで転倒させ、生徒は、頭などに1週間のケガをした。このときは、生徒が失神していたのに発表しなかったと騒ぎになり、教育長らが厳重注意処分などを受けている。

   教師は、傷害罪で大分簡裁から罰金20万円の略式命令を受けた。県教委も、1か月間、減給10分の1とする懲戒処分にしている。その後、19年3月に定年退職したが、希望して県教委に再任用されていた。

「刑事事件起こしたら再任用できないことにはなってない」

   各メディアが今回の体罰をニュースに流したことを受けて、そのコメント欄やツイッターなどでは、「再雇用したことは問題」「体罰や暴行を軽く見ている」「もはや懲戒処分ではなく解雇するべき」などと厳しい声が相次いでいる。

   臼杵市教委の学校教育課は7月11日、この教師は大分県全体の人事配置で市立中学校へ赴任しており、市教委が依頼したわけではないと取材に説明した。教師の行為については、「不適切だと考えており、再びしないように指導している」と話した。警察が捜査しているとは、聞いていないという。

   7月3日に今回の概要を発表したとき、教師の年代や性別を明かさなかったが、特定されるのを避けるためで、隠すような意図はなかったとしている。

   大分県教委の教育人事課は11日、この教師を再任用した理由について取材にこう説明した。

「懲戒処分を受けたり、刑事事件を起こしたりしたら、再任用できないということにはなっていません。希望があれば、勤務実績や健康状態などを見て、再任用するかを決めています。ただ、今回のことがありましたので、今後どうするかは考えないといけないと思っています」

   現在は、体罰の事実確認をしており、教員の処分を検討していくと言っている。前回の体罰では、過去の前例を見て処分を決めたという。

(J-CASTニュース編集部 野口博之)