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政党のツイッター広告、年齢ターゲティングめぐり議論 「出し分け」は「若者軽視」なのか

   立憲民主党が「年金政策」に関するツイッター広告を「50歳以上」にしか表示されないようにしているとして、一般ユーザーから若者軽視ではないかという旨の指摘があがった。

   立憲民主党はこの投稿に反応し、同ツイッター広告の表示対象者を「泣く泣く絞っている」と理解を求めた。どういう意図で広告展開しているのか。党側に聞いた。

  • ツイッター広告をめぐって議論が起きた(写真はイメージです)
    ツイッター広告をめぐって議論が起きた(写真はイメージです)
  • ツイッター広告をめぐって議論が起きた(写真はイメージです)

「こちらの短いバージョンは18歳以上の方に広告として出しています」

   参院選投開票日が1週間後に迫った2019年7月14日。スパム防止のためとして100歳を超える高齢になるようツイッターアカウントの生年月日を設定しているというユーザーが、タイムラインに流れてきた立憲民主党のツイッター広告(プロモーションツイート)に疑念を示した。

   その広告では「蓄えがなくても安心できる年金制度を目指します」とする15秒ほどの動画が投稿されている。しかしツイッターの機能で「この広告が表示されている理由」を確認すると、「立憲民主党(りっけん)様がリーチするユーザーの年齢を50歳超、所在地を日本に設定しているために表示されています」と書かれていたとして、ユーザーはスクリーンショット画像をアップ。年金政策についての広告が50歳以上にしか表示されないことに「ホントクソかと 若者に年金払う気ねぇじゃん」と批判している。

   ツイッター広告は配信する対象を、地域や性別、ユーザーの興味関心などのほか、年齢でも絞り込むことができる。

   この投稿は既に削除されているが、15日昼までに3万8000回以上リツイートされるほど拡散。党への批判も寄せられた。

   そうした中で反応したのが、立憲民主党公式ツイッターだ。15日夕、

「テレビCMなんて夢のまた夢の予算で、Twitter広告の対象を、今まさに年金がもらえるか不安でいらっしゃるだろう世代に、泣く泣く絞っている現実があります」

と説明し、「もちろん年金は若者含め、どの世代にも大事な問題。立憲民主党は、すべての人が安心できる年金制度を構築します」と理解を求めた。

   また、「こちらの短いバージョンは18歳以上の方に広告として出しています。立憲民主党は、『蓄えがなくても安心できる年金制度』を目指します」として年金政策についての8秒の動画をアップ。若年層にも年金政策を訴えていることを伝えた。

「その政策の特性を考慮しターゲティングしたほうが広告効果がよいという判断」

   なぜ年齢別でツイッター広告を出し分けているのか。立憲民主党の担当者は16日のJ-CASTニュースの取材に、「広告の最適化のためです」と説明する。動画バナーは合計で15種類あり、10種類は政策単体のもので、公文書の管理と情報公開の徹底、分散型エネルギーの推進などがある。

   残り5種類は政策イシューを政策へ落とし込む15秒ほどの動画で、「説得力をつけるためファクトを提示した上で政策を提示する形式のバナーを制作しました」という。今回の年金政策以外の動画では、「相対的貧困の増加、ひとり親家庭の増加を提示した上で、待機児童の解消と保育の質の向上を訴えるものなどがあります」としている。その上で、

「後者5種類は全世代を対象とするより、その政策の特性を考慮しターゲティングしたほうが広告効果がよいという判断から今回のような広告展開となりました」

と年齢で出し分けた背景を明かした。こうした方法は他党でも行われているものとして、「一般的な広告展開だと考えております」としている。

   今回の年金政策の動画で、「50歳以上」版に含まれていて、「18歳以上」版にないものは「(編注:2036年までに人口のうち)高齢者は3人に1人になる見込みというファクトの部分」だと話す。

   その上で年金に関する「若者軽視」の指摘に対しては「ツイートや公約、政策集にもありますが、立憲民主党は『世代間公平に配慮しつつ、重点化と効率化によって、子どもから高齢者にわたる、持続可能な社会保障制度』を構築し『大きな蓄えがなくても安心できる社会』を目指しています」と、党としての姿勢を示した。

ツイッターの「選挙報告書」では7政党のプロモツイートを集約

   参院選に際してツイッター広告は各政党が打ち出しており、ツイッターでは「選挙報告書」として7政党が選挙期間内に投稿したプロモツイートを集約させたページが公開されている。中には、実際に「40~49歳」など、特定の年齢をターゲットとして設定したとみられるものもあった。

   それによると、自民党は外交、幼児教育・保育の無償化、アベノミクスなど政策別に動画をアップ。公明党は「液体ミルクの製造・販売が解禁」「幼児教育・保育の無償化」を実現したことなど動画で実績をアピールしている。

   国民民主党は動画で「児童手当増額」「家計第一の経済政策」などに取り組むことを発信。日本維新の会は「消費増税凍結」「クリーンな政治」などを押し出す。日本共産党は「消費増税凍結」「最低賃金引き上げ」などを掲げている。社会民主党は17日時点でプロモツイートを投稿していない。