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マスコミが「豚コレラ」媒介の恐れ 長野県「取材は控えて欲しい」

   長野県で発生した家畜伝染病「豚(とん)コレラ」をめぐり、自民党の務台俊介・衆議院議員は2019年7月23日、マスコミに対して注意喚起した。

   感染したイノシシの現場と養豚場を車で往復することで、感染が拡大する恐れがあるとし、県の担当者も「取材は控えて欲しい」と要請する。

  • 務台俊介議員のフェイスブックより
    務台俊介議員のフェイスブックより
  • 務台俊介議員のフェイスブックより

「マスコミが感染を拡げている」

   豚コレラは18年9月に岐阜県で発生以降、各地に広がっている。

   長野県では2月5日、県内の養豚場で豚コレラに感染したブタが見つかり、7月8日には 感染した野生のイノシシも発見された。県は24日に対策本部会議を開くなど、拡大防止に努める。

   そんな中、長野を地盤とする務台議員は23日、フェイスブックで県内の養豚家からの声を紹介。豚コレラに感染したイノシシがいた現場と養豚場をマスコミが同じ車で消毒せずに往復しているとして、「マスコミが感染を拡げているようなものだとの悲鳴」が寄せられたという。務台議員は「県当局にも伝えましたが、注意喚起させていただきます」と呼びかけた。

   県の公式サイトでも「今後とも、本病に関する速やかな情報提供に努めますので、現場での取材は本病のまん延を引き起こす恐れがあることから、厳に慎んでください」と要請している。園芸畜産課の担当者は25日、J-CASTニュースの取材に「現場はウイルスが潜在的にいる恐れがあり、ウイルスは人や車に付着する可能性があるので近づいた人はリスク要因になります。しかも報道の方は広範に活動されるので、取材は控えて欲しい」と背景を話す。

「報道陣にはブリーフィングで発生農場や養豚場の取材は控えて欲しいとお願いしましたが、一部のメディアが約束を守らず厳重に抗議した例もありました」

人に感染せず、食べても問題なし

   農林水産省によれば、豚コレラはブタやイノシシには伝染力が強く致死率が高いが、人には感染しない。仮に豚コレラにかかった豚肉や内臓を食べても人体に影響はなく、感染したブタの肉が市場に出回ることはないという。

   長野県は、県内の山林に入った際、感染拡大を防ぐために下山後は靴底などの泥をよ く落とすよう要請している。

(J-CASTニュース編集部 谷本陵)