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井上尚弥に「欠点見つけた」、ドネア発言はブラフなのか モンスターVSレジェンド「11.7」正式決定

   ワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)の主催者が2019年8月7日(日本時間8日)、公式サイトにおいて同シリーズ・バンタム級決勝戦を11月7日、さいたまスーパーアリーナで開催することを発表した。決勝戦には「モンスター」井上尚弥(26)=大橋=が出場し、フィリピンのレジェンド、世界5階級制覇でWBA世界バンタム級スーパー王者ノニト・ドネア(36)を迎え撃つ。

   ボクシングファンが待ちわびたドリームマッチがようやく正式発表された。11月7日、会場は最大3万5000人収容可能なさいたまスーパーアリーナ。主催者サイドの「不手際」でドネア陣営の不信感が募り、ドネア自身も不満を隠さず、一時は開催が危ぶまれたものの、井上のホームである日本開催で落ち着いた。

  • 井上尚弥(2018年撮影)
    井上尚弥(2018年撮影)
  • 井上尚弥(2018年撮影)

「ゲームプランを確実に作っていければ...」

   敵地での決戦となるドネアは、WBSSを通じてコメントを発表した。親日家として知られるレジェンドは「井上は素晴らしいファイター」と、井上へのリスペクトを忘れなかったが、一方で「準決勝で(井上の)欠点を見つけた。ゲームプランを確実に作っていければ、(副賞の)アリ・トロフィーを獲得できる」と絶対の自信を見せている。

   ドネアが指摘する井上の「欠点」とはいかなるものなのか。ドネアは今年5月に英国で行われた準決勝の井上VSロドリゲス戦を現地で視察している。ただ、この試合は井上が2回に3度のダウンを奪う圧勝で、2回1分19秒でTKO勝ちしている。試合に要した時間はわずか259秒だ。世界5階級制覇のレジェンドをもってしも、この短時間で井上の「欠点」を見出すのは不可能だろう。

   そもそもロドリゲス戦において、井上の「欠点」があったこと自体、疑わしい。ロドリゲス戦を振り返ってみると、まず1回は互いに中間距離で様子見が続く。身長で3センチほど井上を上回るロドリゲスがプレスをかけ、井上は左に旋回しながら揺さぶる。初回に井上がまともに食らったパンチはなく、左ジャブを数発もらっただけ。そして2回、井上はカウンター気味の左フックで最初のダウンを奪うと、ボディーで計2度のダウンを奪い試合を決めた。

「決勝を待ちきれない」

   この試合でドネアが参考となったとすれば、井上へのプレスのかけ方だけではなかろうか。168センチのロドリゲスとドネアは同じ身長で、攻撃的なスタイルも似ている。だが、ロドリゲスはこの試合で井上に対して仕掛けることさえ出来なかった。逆に初回でロドリゲスのパンチを見切った井上は2回に積極的に仕掛け、79秒の間に計3度のダウンを奪い、あっけないほどの幕切れとなった。

   WBSSに出場するために7年ぶりにバンタム級に下げたドネア。スーパーバンタム級、フェザー級では判定までもつれ込む試合が多く見られたが、「適性」とされるバンタム級ではその破壊力は今なお健在だ。36歳という年齢から全盛期に比べてスピードが落ちたとの指摘もあるが、もともとパンチの当てカンが抜群で、カウンターのうまいボクサーだけに、必殺の左フック、アッパーは脅威となる。

   ドネアが一発に頼って畳みかけようとしてくれば、勝負は早いランドで決する可能性も十分あるだろう。井上はロドリゲス戦で見せたように、ドネアのパンチを早々に見切り、一気に勝負に出る展開も考えられる。いずれにせよ、一撃必殺のパンチを誇る「モンスター」VS「レジェンド」は、判定までもつれ込むことはなさそうだ。

   「決勝を待ちきれない」。WBSSを通じてはやる気持ちを隠さなかった井上。いまだ底を見せない無敗の「モンスター」が11月7日、新たな伝説を作る。