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コミケ主催者、京アニ支援「何かを行ったりはいたしません」 募金詐欺への「注意喚起」と見る向きも

   同人誌即売会「コミックマーケット96」開幕2日前の2019年8月7日、主催する「コミックマーケット準備会」が、アニメ制作会社「京都アニメーション」の放火事件に関して、コミケ当日に募金などの支援活動は行わないことを表明した。

   インターネット上では放火事件後、「コミケで京アニ募金詐欺とか蔓延しそう」といった懸念があがっていた。そのため準備会の表明を受けて「コミケット公式を名乗る募金活動に騙されないようにってことね」と推測する向きもある。

  • コミックマーケット準備会が公式サイトで発表した声明
    コミックマーケット準備会が公式サイトで発表した声明
  • コミックマーケット準備会が公式サイトで発表した声明

「支援の体制も整いつつある」

   コミケは例年夏冬の2回(夏コミ、冬コミ)開催される大規模なイベントで、18年の夏コミは公式発表で3日間合計53万人の来場者数を記録した。19年の夏コミは8月9~12日の4日間、東京ビッグサイトで開催される。

   開幕目前に迫った7日、準備会は「京都アニメーション放火事件にあたって」と題して声明を発表。「最初に今回の事件の被害に遭われて亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、怪我をされた皆さまの一日も早い回復を願っております。また、ご家族や関係者の方々へ心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます」と追悼し、「京都アニメーションさんは、以前より企業ブースにも出展され、コミックマーケットともご縁のある会社でもありましたので、今回の事件につきましては、一層のショックをもって受け止めているところです」と悲しみをつづっている。

   そのうえで、

「先日京都アニメーションさん自らによる募金の窓口が置かれ、支援の体制も整いつつあることから、コミックマーケット96当日に改めて何かを行ったりはいたしません。既に多くの方が行動されているかと思いますが、コミケットの参加者の皆さんも各のやり方で応援していただけたらと思います」

と、コミケ主催者としては支援活動をしないとしている。

   コミケ準備会は声明で、「大切なことは、いつまでも色褪せない作品の数々を忘れないこと、それを見続けていくこと、語り継いでいくこと、遠くない未来に新しい作品が生まれることに希望を持ち続けること。それが『京アニ』の作品に心惹かれた私たちにできることだと思います」との姿勢を示し、「そしてまた、次の曲が始まることを願って---」と結んでいる。

   「京都アニメーションさん自らによる募金の窓口が置かれ」とあるように、実際に京アニは7月26日、公式サイト上で「支援金預かり口座」を開設したと発表。8月6日には、アニメ関連商品の販売を手がける「アニメイト」を通じ、約2億4900万円の支援金が届いたことを報告している。

声明の意図は?

   数多くのアニメファンが来場するコミケ。京アニ放火事件が起きた7月18日から数日が経ったころから、ツイッターでは「今年の夏コミ、『京アニ支援』名目の募金者がアトリウムとかウロウロしてると思う」「コミケで京アニ募金詐欺とか蔓延しそうやなぁ」「コミケ行く各位京アニ募金詐欺に注意してください」など、善意につけ込んだ募金詐欺が横行することを懸念する声が多くのユーザーからあがっていた。

   こうした背景もあってか、準備会の声明の意図についてツイッターでは

「本部は行わないから募金詐欺に気をつけてね」
「コミケット公式を名乗る募金活動に騙されないようにってことね」
「会場に行かれる方はその手の悪質な手口に気をつけた方がいいってことですね」

と推測する向きもある。

   ただ声明には、こうした「注意喚起」のような意味がはっきりと書かれているわけではない。また、「コミケットの参加者の皆さんも各のやり方で応援していただけたらと思います」とも書いていることから、参加者が募金を含む京アニ支援活動を行うことは否定していないとも取れる。

   J-CASTニュースは8日、コミックマーケット準備会に対し、コミケ参加者による期間中の京アニ支援活動は可能か、声明は募金詐欺などへの注意喚起なのか、について確認を求めた。ただ、準備会の担当者は「8月7日に発表させていただいた『京都アニメーション放火事件にあたって』以上のコメントをする予定はございません。センシティブな内容ですので、こういった回答になってしまいますが、ご了承下さい」とするにとどめた。

(J-CASTニュース編集部 青木正典)