J-CAST ニュース ビジネス & メディアウォッチ
閉じる

宇宙人目線で地球文明を解説 NHK「新銀河紀行」が「攻めてる」と評判に...続編の予定は?

   NHKが、ぶっ飛んだ「宇宙人もの」番組を放送した。(地球人からみれば)奇抜な恰好の「宇宙人キャスター」が登場し、地球の文明を「宇宙人目線」で紹介するという内容だった。

   スタジオ陣の見た目はともかく、テーマの紹介内容自体はいたって真面目で落ち着いたトーンの「教養エンターテインメント番組」。こうしたギャップもあってか、ツイッターでは「コントじゃないのがすごい」「面白かった」と喜ぶ反応が相次いだ。続編を望んだり、見逃したために再放送を期待したりする声も出ている。その予定はないのか、NHKに聞いた。

  • NHKの番組サイト(宇宙の人気番組「新銀河紀行~驚異の地球文明~」)の「過去の放送」ページ
    NHKの番組サイト(宇宙の人気番組「新銀河紀行~驚異の地球文明~」)の「過去の放送」ページ
  • NHKの番組サイト(宇宙の人気番組「新銀河紀行~驚異の地球文明~」)の「過去の放送」ページ

すでに「滅亡した」地球の謎を探る

「こんばんは」

   2019年8月19日夜、NHK(総合)で「宇宙の人気番組『新銀河紀行~驚異の地球文明~』」が始まると、スタジオの宇宙人キャスターの2人は、座った姿勢でこう言って頭を下げた。

   向かって左の女性の頭は巨大な茶色の玉ねぎ型で、横幅は顔幅の2倍、縦は髪部分だけで、眉以下部分の1.5倍はある。一方の男性キャスターの髪は紫の山型。隣の玉ねぎヘアほどではないが、かなりの高さがある。2人とも、長い耳は上部先端が尖っており、服装は何やらイソギンチャク風の数センチの突起物がウニョウニョと腕あたりについている。

   この番組は、「宇宙のある星の公共放送でオンエアされている人気番組」だそうで、地球の生命は滅んでしまい、残されたアーカイブ資料から地球文明を紹介するとして、「地球人類の数少ない生き残り カトう」(カタカナとひらがなの混合表記。俳優の加藤諒さん)がゲストとして参加した。「カトう」さんは、カラフルなシャツという普通の地球人類の服装だ。放送の際の使用言語は「地球に存在した言語約6000のうちから日本語を選んだ」との説明も。スタジオセットの一部には、解読し難いナゾの文字が3文字ならび、某地球放送局を連想させるような箇所もあった。

   取り上げたテーマは、「なぜ地球人類は、あまりうまい絵とは思えないゴッホの『ひまわり』に心を奪われるのか」「なぜ水分とカテキンの摂取にわざわざルールを設けて『茶の湯』を楽しんだのか」「穴にボールを入れる『ゴルフ』なるものは、なぜ地球で人気?」の3点。

「元NHKの大物アナウンサー」が...

   それぞれのテーマについては、専門家へのインタビューや再現ドラマなどを織り交ぜて紹介し、そうした映像が残されていた、発見された、いった説明付きだった。一方でスタジオに戻ると、たとえば、

カトう「(茶の湯が楽しいかどうかは)人によりけりですね」
宇宙人女性アナ「と言われましても、私たちは全く存じ上げないですから」

と、地球人類を突き放すようなコメントを放ち、会話が成り立たない冷たい空気を感じさせるシュールな場面が何度も展開された。

   こうした小技の効いた設定やスタジオでのやりとり、さらにテーマそのものの「素朴な疑問」や「疑問への答え」は視聴者に概ね好評だったようで、ツイッターには

「すげー面白かったな」
「NHK攻めてる」
「コントじゃないのがすごい」

といった反応が相次いでいた。地球の生命が滅ぶという設定に違和感を表明する人もいたが、目立つのは、

「最高にツボに入った番組だった」

といった声だった。

   中には、この独特の雰囲気を醸し出す宇宙人キャスターが「元NHKの大物アナウンサー」だったことに注目する人もいた。番組内でも、最後段では、画面が暗転したあと、宇宙人姿へのメイキング映像も紹介された。2人は、石澤典夫さん(67)と草野満代さん(52)。共に元NHKアナウンサーで、石澤さんは朝や夜のニュース番組キャスターを歴任し、草野さんはスポーツ番組キャスターで人気を博し、1995、96年には連続で紅白歌合戦の総合司会も務めた。退局後は、TBS系人気ニュース番組「筑紫哲也NEWS23」(当時)のキャスターも務めた経験もある。

シリーズ化や再放送の予定は?

   また、ツイッターには「シリーズ化してほしい」「再放送ないかな」といった要望も出ている。NHK広報部にJ-CASTニュースが放送翌日に質問すると、今回が初めての放送で、今後に第2回を作るのか、シリーズ化するのか、といったことは「まだ何も決まっているものは、ありません」とのことだった。再放送の予定も今のところは、決まっていない。

   「新銀河紀行」と名前が似ている、NHKの過去の番組「新日本紀行」は、1963年から19年近く放送された、昭和の名物紀行番組だった。「新銀河~」は令和の名物番組となるのか。番組中では、「地球人類のナゾに迫る好評シリーズ」という表現も出てきたが、先にもNHK側回答の部分で触れたように、今回の放送が「初」だった。