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ほかの「20%還元」とはここが違う JCBがキャッシュレスにかける「本気度」

   キャッシュレス決済各社が、還元率などを競う「Pay戦争」を繰り広げるなか、日本を代表するクレジットカードブランド「JCB」が、新興各社と差をつけるキャンペーンを始めた。

   「もれなく20%キャッシュバック」といった概要だけ聞くと、いつもPayPayやLINE Payといったコード決済が行っているキャンペーンと大差ないような気がする。しかし、今回の施策を読み解くにつれて、JCBの「本気度」が見えてきた。

  • QUICPayも「20%還元」に
    QUICPayも「20%還元」に
  • QUICPayも「20%還元」に

カードごとに最大1万円還元

   今回のキャンペーンは、対象カードをスマートフォン(Apple Pay、Google Pay)に設定した上で、キャンペーン参加登録を行うと、利用合計金額の20%(最大1万円)がキャッシュバックされるもの。2019年8月16日~12月15日の期間、QUICPay(クイックペイ)加盟店での支払いに適用される。

   対象となるのは、JCBグループの個人カードと、一部のビジネスカード。カード1枚あたりキャッシュバック1万円(=5万円使用)を上限とし、該当するカードを複数枚持つ場合は、それぞれがキャンペーン対象となる。ただ、「JCB」のロゴが付いていても、キャンペーンに参加できない場合が多々あるため、注意が必要だ。今回対象になるのは、ジェーシービー本体に、フランチャイズを受けた銀行などを加えた「JCBグループ」が発行したカード。楽天やセゾン、ビューカードといったパートナー企業のものは、ロゴが付いていても対象外だ。

   ここ1年ほど、たびたびコード決済各社が「20%還元」を打ち出しているが、今回のキャンペーンとはどう違うのか。一番の違いは、上限額がカードごとに定められていること。対象カードを持っていればいるほど、恩恵を受けられる。また、画面提示かカメラ起動が必要なコード決済と違って、QUICPayはカードリーダーにかざすだけで決済できるため、より楽なのもメリットだ。

知名度あるのに、なぜ「大盤振る舞い」

   そもそもQUICPayは、PayPayやLINE Pay、メルペイのようなコード決済とは違い、すでに知名度がある。店舗への普及も格段の差だ。それなのに、わざわざ「大盤振る舞い」するのは、本気でキャッシュレス決済の覇権を獲りに行っている証拠と言ってもいいだろう。

   消費増税される10月からは、政府主導のキャッシュレス決済還元制度が始まる。それに乗じた各社の施策が出そろう前に、ガツンと「宣戦布告」する意味もあるだろう。キャンペーンは12月までの予定だが、注意事項には「掲載の期間以降も継続して実施する場合があります」とわざわざ添えられおり、様子を見つつ、今後も試行錯誤していくようにも読み取れる。

   筆者は十年来のJCBユーザーだが、このごろは還元率の高いカードに浮気気味だった。10月になれば、各社のキャンペーン攻勢が始まるはず。それまでの1か月半は、ひとまずQUICPayを使っていこうと、死蔵していた「JCB CARD W」を引っ張り出してきた。

(J-CASTニュース編集部 城戸譲)