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関係冷え込みと進むウォン安 訪日韓国人ますます減る一方か

   日韓関係が冷え込むなか、訪日韓国人客でにぎわっていた観光地から、悲鳴が聞こえてきそうだ。急速に進展している「ウォン安」が、追い討ちをかける可能性が出てきた。

   ウォン安は、韓国でショッピングを楽しむ日本人にとっては、商品が安く手に入るのでプラスになるが、訪日韓国人客にとっては高くなる。買い物目当ての韓国人客にはマイナスだ。

  • 地方の観光地は大打撃か……(写真は、大分・別府温泉)
    地方の観光地は大打撃か……(写真は、大分・別府温泉)
  • 地方の観光地は大打撃か……(写真は、大分・別府温泉)

地方の観光地は特に打撃大

   日本政府観光局は2019年8月21日に発表した7月の訪日外国人客数(推計値)は、前年同月比5.6%増の299万1000人。全体としては増えたが、徴用工や輸出規制措置の問題で関係が悪化している韓国からの訪日客数は56万1700人で、前年同月と比べて7.6%減少した。

   訪日韓国人の客数は2018年9月以来の水準で、日本政府観光局によると、韓国人の渡航先の多様化や経済の低迷に加えて、日韓関係の悪化で訪日旅行を控える動きがあることが影響したとみている。

   実際に、韓国人の日本旅行の予約数は減っているよう。日本が韓国に対して講じた輸出規制措置(ホワイト国除外)をきっかけに、韓国航空大手の大韓航空が釜山と札幌を結ぶ路線を運休(9月予定)。格安航空会社(LCC)のティーウェイ航空は務安(ムアン)、釜山-大分便や、釜山-佐賀便、大邱(テグ)-熊本便の4路線の順次運休を発表した。イースター航空も、釜山-札幌便と釜山-大阪便、エアプサンは大邱-成田便の運休を9月にそれぞれ予定している。

   「足」がないのだから、日本に来たくても来られない。しかも、こうした地方の観光地を結ぶ直行便が飛ばないことで、地方の痛手は計りしれない。

8月は100円=1100ウォン台半ばで推移

   さらに、訪日韓国人客の足が遠のく出来事が起こっている。それが、「円高ウォン安」だ。

   ウォン安は、今年1月には100円=1030ウォン程度で推移。この時すでに1年で約10%もウォンに対する円の価値が上昇していたが、その後もウォンは値下がり。5月1日には100円=1044ウォン、7月1日には1066ウォン、8月1日は1086ウォンに急ピッチに上昇。8月23日には100円=1150ウォンと、1100ウォン台を突破した。

   ウォン安は、韓国を訪問する日本人客にとってはメリットがあるが、韓国人客にとっては逆風。航空機は飛ばない、買い物したくても値段は高いでは、日本へ行こうという意欲も湧かなくなる。

   一方、韓国観光公社が8月22日に発表した韓国観光統計によると、7月に韓国を訪れた外国人は144万8067人で前年同月比15.4%増加。中国人客が51万9132人で最も多く、次いで日本の27万4830人だった。日本人客は個人旅行客が増えたことで前年同期と比べて19.2%と大きく増えた。

   メディアを通じて映し出される不買運動の影響で治安悪化が懸念される韓国だが、ウォン安のタイミングを狙って、買い物ツアーに出かける日本人は意外に少なくないようだ。