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24時間テレビ、異例の「国技館」中継 日本武道館からは「フジの裏番組」が...

   8月の風物詩、日本テレビ系の「24時間テレビ」が、今年も放送されている。

   例年と大きく異なるのが、開催場所が日本武道館(東京都千代田区)ではなく、両国国技館(墨田区)であること。「サライ」の合唱で出迎える、24時間マラソンのゴールも、当然ながら国技館になった。では今回、会場が変わった理由は――。

  • 日本武道館は改修工事に入る
    日本武道館は改修工事に入る
  • 日本武道館は改修工事に入る

まだ改修工事に入っていないのに...

   24時間テレビは第3回(1980年)から武道館をメイン会場としているが、1991年と2009年には別会場で行われた。91年は8月下旬に世界陸上を中継する(当時の放映権は、TBSではなく日テレ)ため7月下旬に繰り上がり、それにともない東京都庁の都民広場(新宿区)に会場を移した。2日目に衆院総選挙が重なった09年は、東京ビッグサイト(江東区)から放送されたが、その理由については特段公表されていない。そして今回、10年ぶりの別会場となる。

   19年8月24日の「24時間テレビ」冒頭では、メインパーソナリティーの「嵐」大野智さんから、募金者に向かって「武道館ではなく、両国国技館です。くれぐれも間違えるなよ!」と呼びかける場面があった。この発言を伝える一部報道では、武道館開催ではない理由として、20年の東京五輪・パラリンピックに向けた改修工事を紹介。ツイッターでも「24時間テレビまで武道館の改修着工待ってられなかったのかw」といった反応が出ているが、厳密には正しくない。

   武道館では3月から、本館大屋根の塗装工事が行われている。爆風スランプのヒット曲「大きな玉ねぎの下」で「玉ねぎ」と歌われている、あの擬宝珠(ぎぼし)部分だ。しかし、会場そのものの休館は9月以降で、それから五輪に向けた増改修工事が行われる計画。武道館公式サイトの「大道場利用日程」を見ると、9月9日のイベントまで書かれている。では8月24、25日は、何に使われているのだろうか。

グランドフィナーレの「真裏」で中継

   日本武道館では現在、8月25日~9月1日の日程で「世界柔道選手権東京大会」が行われている。これは日テレではなく、フジテレビ系で独占中継されるもの。24時間テレビ・グランドフィナーレの「真裏」にあたる25日19~21時には、男子60キロ級、女子48キロ級が組まれている。

   年1回行われる「世界柔道」だが、今回は東京五輪の前哨戦と位置づけられていて、フジの中継には「スペシャルゲスト」として、同局の五輪メインキャスターを務める「関ジャニ∞」村上信五さんも出演する。なお「関ジャニ∞」は過去2回、24時間テレビのメインパーソナリティーを務めていた。

   武道館は1964年、前回東京五輪の柔道会場とするために作られた。ビートルズ来日公演(1966年)や、40年近くにわたる24時間テレビ中継もあって、いまでは音楽ライブやイベント会場としてのイメージが強いが、そもそもの経緯から考えると、柔道会場としての利用は「本来あるべき姿」と言えるだろう。

日テレと武道館の「浅からぬ縁」

   来年に迫る東京五輪は、次回の24時間テレビにも影響を及ぼす可能性がある。武道館ではオリンピックの柔道(20年7月25日~8月1日)、空手(8月6~8日)に加えて、パラリンピックでも柔道(8月28日~30日)が行われる。両大会の間には20日ほど空白期間があるが、どのような会場利用がされるかは不明なため、2年連続で別会場からの放送になる可能性も高い。国技館もオリンピックのボクシング会場(7月25日~8月9日)に利用される予定だ。

   武道館の建設には、正力松太郎衆院議員(当時)らの尽力があった。国会で柔道議連を率い、最終的に十段になった人物だが、日本テレビ放送網の初代社長(1952~55年)としても知られている。今年は正力氏が世を去り、武道館で葬儀を行ってから、丸50年の節目となる。日テレと武道館、そして柔道の歴史を語る上でも、24時間テレビは大きな意味を持っているようだ。

(J-CASTニュース編集部 城戸譲)