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奥川は「即戦力」、佐々木は「ポテンシャル」 MLBスカウトが評したドラ1候補

   今秋のドラフト会議(2019年10月17日)開催まであと2カ月を切った。ドラフト1位候補として注目を集めるのが、今夏の甲子園準V投手、星稜・奥川恭伸(3年)と163キロ右腕、大船渡・佐々木朗希(3年)だ。両投手は8月28日、「U18ワールドカップ」出場のため開催地である韓国入りした。プロ野球ファン注目の今秋のドラフトだが、プロが見た両投手の評価は...。J-CASTニュース編集部はMLBのスカウトに聞いた。

   奥川、佐々木ともに日本球界の将来を背負う投手であることは異論の余地がないだろう。奥川は優勝こそ逃したが、今夏の甲子園で超高校級の投球術、体力を改めて証明した。一方、地方大会決勝では出場の機会がなかった佐々木は、8月26日の大学日本代表との壮行試合に先発。MAX156キロをマークし、1回2三振無失点とほぼ完ぺきな投球を見せた。

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「速球は評価のひとつにすぎない」

   今夏、佐々木が登板した試合に足を運んだというMLBのスカウトは「アメリカの高校生でも160キロを出す投手はほとんどいない。速球だけなら日米を通じて同世代で群を抜いている」と評価した上で次のように続けた。

「野球の投手は球の速さを競うものではないので、速球は評価のひとつにすぎない。佐々木君の場合、コンスタントに150キロ後半を出すので、確かに大きな魅力だが、プロとして気になるところはいくつかある。そのひとつが体力だ。この体力には様々な要素を含んでいる。例えば6回、7回を投げ切る体力やケガをしない体力。プロは1年を通してマウンドに立つことが必要とされる。体力面でみれば、現段階で佐々木君は即戦力として計算が出来ないと思います」(関係者)

   MAX163キロを誇る右腕も、全国レベルの実践となると未知数の部分が多い。今夏の地方大会では決勝のマウンドを回避。監督との話し合いの上での登板回避とみられるが、肩や肘、腰などに不安をかかえていた可能性もある。また、26日の壮行試合では、当初、2イニングの登板の予定だったものの、右手中指にできたマメの影響で急きょ、1イニングの登板になった。

「制球力があるので、大崩れしないタイプ」

   一方の奥川は今夏の甲子園で期待通りの活躍を見せ、改めてプロのスカウト陣をうならせた。決勝戦こそ疲労の影響から決め球のスライダーが全体的に高めに浮いて打ち込まれたが、準決勝まではプロ顔負けのスライダーとフォークが低めに決まり、三振の山を築き上げ自責点ゼロを更新していた。試合終盤に150キロを連発する体力を持ち合わせ、身体能力の高さを見せた。

「奥川君の魅力はバランスの良さ。150キロを超える速球も魅力ですが、この速球を生かす変化球がいい。体を見てももう一回り大きくなりそうですし、伸びしろは十分。打者の膝から下に落ちるスライダーは、プロでもなかなか打てないでしょう。なんといっても制球力があるので、大崩れしないタイプ。即戦力とみても良いでしょう」(関係者)

   また、前出の関係者は佐々木の将来性について言及。

「ポテンシャルは奥川君を上回るものがあると思いますが、プロ入りしてもしばらくは下で経験を積んだ方が良いでしょう。底が見えない分だけ怖さがある。起用法も含めて、即戦力ではなく長い目で育てる方針のチームが佐々木君には合っていると思います。もし、佐々木君が今すぐにメジャーにきてもマイナーからの出発になりますし、そこで実績を作らないと上には上がれません。プロに行っても故障しては意味がありませんから」