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V4絶望カープ、現実味帯びる「暗黒時代」の再来

   広島のリーグ4連覇が風前の灯火となった。広島は2019年8月29日、東京ドームで巨人と対戦し4-12の大敗を喫した。

   エース大瀬良大地投手(28)が3回途中10失点の大炎上。3回までに12点を献上し早々と試合が決まった。巨人3連戦で1勝2敗と負け越し、首位・巨人との差は7.5ゲームにまで広がり、20試合を残してリーグ4連覇は絶望的となった。

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バティスタ、中崎、田中...痛すぎる戦線離脱

   エースの乱調、記録に残らない守備陣の「失策」。リーグ3連覇中には見ることがなかった光景が東京ドームで繰り返された。逆転優勝へ向けて絶対に落とせない一戦で3回に10失点。大瀬良が岡本和真内野手(25)に3ランを許し、後を継いだ塹江敦哉投手(22)が丸佳浩外野手(30)に満塁弾を浴びて万事休す。スタンドでは鯉党のため息と怒号が入り交じり、指揮官は「ファンの人に申し訳ない試合になったね」とこぼした。

   連夜の逆転負けでリーグ4連覇の夢は消滅しかけている。リーグ3連覇を支えてきた堅守がほころびをみせ、最大のヤマ場となった3連戦で主砲・鈴木誠也外野手(25)は10打数無安打に終わった。投手陣が崩壊し、主軸が打てない。守備においては、西川龍馬(24)、松山竜平(33)の両外野手が球際の弱さを露呈。そして指揮官の意志が伝わらない采配。チームは空中分解の危機にある。

   この2連敗でリーグ優勝どころか、4位・阪神には3ゲーム差に詰め寄られ、Aクラス確保も危うい状況になってきた。終盤に入り、戦力が次々と戦線離脱している。ドーピング疑惑がかかるサビエル・バティスタ内野手(27)、中崎翔太投手(27)の2軍降格。リーグ3連覇を支えた田中広輔内野手(30)は8月28日に右膝半月板部分切除の手術を受け、今シーズンの復帰は絶望的となった。

来季は最大4人の戦力ダウンも

   クライマックスシリーズ(CS)の可能性は残しつつも、広島の今オフは暗いものになりそうだ。すでに菊池涼介内野手(29)がポスティングシステムを利用して今オフのMLB移籍の意志を表明しており、国内FA権を取得している野村祐輔投手(30)、会沢翼捕手(31)の動向も気になるところ。また、現時点でバティスタの処分は確定していないが、陽性反応を示していることからペナルティーは避けられない状況で、来シーズンに影響を及ぼすことは必至だ。

   すべては今オフのFA、バティスタの処分内容によるが、最大で4人の戦力を失う可能性がある。さらに近い将来、大瀬良、中崎が国内FA権を取得し、これに鈴木が続く。鯉党にとっては考えたくもないことだろうが、FA権取得者が権利を行使すれば...。過去、広島の主力選手のFA移籍が相次ぎ、戦力ダウンを余儀なくされた歴史がある。これが「暗黒時代」のひとつの要因となったとの見方もある。

   30日からは本拠地マツダスタジアムで2位DeNAとの3連戦、9月6日からは4位・阪神との直接対決を控える。残り20試合、クライマックスシリーズ(CS)進出が最低限の責務となる指揮官。舵取りを誤れば再び「暗黒時代」に突入しかねない。王者が正念場を迎えている。