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「鳥谷引退勧告」阪神の代償は... ドラフトへの影響も懸念

   阪神・鳥谷敬内野手(38)の引退勧告問題が波紋を広げている。鳥谷は2019年8月31日、球団から引退勧告を受けたことを明かした。球団から事実上の戦力外を通達された形の鳥谷の今後は、「引退」か「移籍」の二択となる。シーズン中ということもあり去就に関して鳥谷本人は明言を避けているものの、周辺からは現役続行を望む声が上がっている。

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過去には田淵、掛布、岡田が「しこり」残して退団

   チームがクライマックスシリーズ(CS)進出をかけて戦っている最中に発覚した引退勧告問題。今シーズン、主に代打要員として打席に立った鳥谷は4億円(金額は推定)の年俸に見合う成績は残していない。5年契約の最終年ということもあり、球団が出した「戦力外」という答えは決して間違ってはいないだろうが、会談内容がメディアに漏れたことも含め、功労者への配慮のなさを指摘するプロ野球関係者は多い。

   阪神は過去にも大物選手が「しこり」を残して球団を去るケースがあった。古くは1978年のシーズンオフに阪神から西武にトレードで移籍した田淵幸一氏。阪神を自由契約となりオリックスに移籍した岡田彰布氏や、ミスタータイガースの掛布雅之氏ら球団を代表するスター選手の去り際は決してきれいなものではなかった。

   阪神の「お家騒動」で記憶に新しいのが昨年の金本知憲監督の解任劇だ。シーズン終了直後に金本監督の辞任が発表された。契約を2年残しての電撃発表だった。当初はシーズン最下位の責任を取って金本監督が辞任したとみられていたが、実際のところは球団主導の解任。そして「辞任会見」は、テレビカメラ、新聞社のカメラマンなしで、金本監督は立ったままの異例の形で行われた。

「鳥谷騒動は球団にとって大きなマイナス」

   リスペクトや配慮に欠いたトップ切り。今年は球団の功労者への「引退勧告」だ。今回、鳥谷に対する阪神球団の姿勢に、プロ野球関係者をはじめとし虎党からは批判の声が相次いでいる。このような状況でプロ野球関係者が指摘するのが、球団のイメージ低下だ。今秋に控えるドラフトにも影響が出るのではないかとの不安の声も上がっている。

   プロ野球関係者は「今回の鳥谷騒動は球団にとって大きなマイナス。球団そのものの信頼を失いかねない。阪神は今でも人気球団だが、プロを目指す高校生や大学生は別。今やソフトバンクが圧倒的な人気を誇り、昔のように巨人や阪神に行きたがる選手が減っているのが実情。阪神は選手への対応を今一度、見直さないとプロを目指す選手からそっぽを向かれてしまう」と指摘する。

   プロ野球ファンどころか、CS進出を目指すナインへの士気にも影響を及ぼしかねない今回の鳥谷騒動。鳥谷が選択する道は不明だが、いずれにしても球団の「不手際」による代償は決して小さくはないだろう。