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毎日新聞はもうすぐ、日経に「追い越される」 部数が示す「朝毎読」の終焉

   2019年10月から消費税率が10%に引き上げられる中、8%の軽減税率を勝ち取った業界の一つが新聞業界だ。それでも苦境は続きそうで、大手紙では1年で5%程度部数を減らす状況が続いている。特に厳しいのが毎日新聞だ。この1年間で全体の14%近い約39万部を減らし、日経新聞との差を10万部程度に詰められた。

   25年ぶりに消費税分の転嫁を除く本体価格の値上げに踏み切った読売新聞も1年で40万部以上減らし、800万部割れが目前だ。半期ベースで1000万部を超えていたのは震災直前の10年下期が最後。至上命題としていた「1000万部死守」は遠い昔のことだ。

  • 新聞業界は厳しい状況が続いている(写真はイメージ)
    新聞業界は厳しい状況が続いている(写真はイメージ)
  • 新聞業界は厳しい状況が続いている(写真はイメージ)

「約9%の値上げに対して5%の部数減」をどう見るか

   日本ABC協会がまとめた2019年上期(1~6月)の平均販売部数によると読売新聞が809万9445部(前年同期比4.9%減)、朝日新聞が557万9398部(同6.3%減)、毎日新聞が243万5647部(同13.8%減)、日経新聞が233万3087部(同4.2%)、産経新聞が138万7011部(同7.7%減)。純減数は読売が一番大きいが、減少幅が最も大きいのが毎日だ。日経新聞の減少幅が4.2%にとどまっていることを踏まえると、あと1年程度で毎日と日経の部数が逆転し、いわゆる「朝毎読」の枠組みが、今以上に実態に合わなくなる可能性もある。

   読売新聞は19年1月1日から月額4037円(税込)の購読料を4400円に、1部売りも朝刊を130円から150円に値上げした(夕刊は50円で据え置き)。約9%の値上げに対して5%の部数減という結果は、経営の一時的な改善につながったとみることもできそうだ。日経は17年11月に値上げしており、朝日、毎日、産経も値上げのタイミングを探る。

値上げすれば部数減少に拍車、しなくても...

   値上げすれば部数減少に拍車がかかるのは確実だが、しなくても下げ止まる気配は見えない。

   電通が18年12月に行った、消費増税をめぐる「全国1万人意識調査」では、「消費税増税をきっかけに購入・利用の見直しをしたいと思うもの」を複数回答で聞いたところ、「新聞の定期購読」を「やめることはしないが、節約する」と答えた人が12.1%、「やめることを検討している」と答えた人が13.7%いた。

   ブロック紙も厳しい状況が続く。北海道新聞が95万4005部(3.1%減)、河北新報が43万0265部(3.0%減)、東京新聞が44万2550部(5.4%減)、中日新聞が222万8196部(3.7%減)、中国新聞が58万3946部(4.0%減)、西日本新聞が57万5989部(6.5%減)。政権批判や政権支持などの論調に関わらず、右肩下がりが続いている。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)