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香港に「自衛隊を送って」...アグネス・チョウさん「霊言」に本人抗議 幸福実現党「ご心配おかけした」と謝罪

   香港の民主活動家、周庭(アグネス・チョウ)さん(22)について、その守護霊が自衛隊派遣を希望していると、幸福実現党が広報紙で紹介した。これを受けて、中国国内のネット上などで本人による直接の発言として拡散している。

   これに対し、アグネスさんは、そんな発言はしていないとツイッターで同党に削除・訂正を求めている。同党は、公式サイトで謝罪したうえ、守護霊を強調する表現に改めた。

  • アグネスさんのツイッター声明
    アグネスさんのツイッター声明
  • アグネスさんのツイッター声明

翻訳され中国ネット拡散...非難相次ぐ

   「自衛隊を派遣して香港の自由を守れ」。広報紙「幸福実現NEWS」の2019年9月4日付特別号では、こんなタイトルで、宗教団体「幸福の科学」創始者で同党総裁の大川隆法氏の「霊言」を紹介した。

   それによると、大川氏は、中国の習近平国家主席とアグネスさんの本音を探ったとし、アグネスさんについて、その守護霊が「できたら香港独立まで持っていきたい」と語ったとした。さらに、守護霊は、死ぬことで正しさを示せると覚悟を口にしたとして、日本への期待を次のように述べたとした。

「できたら、自衛隊を送っていただきたい。邦人保護の名目で」
「そしたらアメリカも動きますから」
「アメリカ、イギリス、日本が軍隊を送ってきたら戦い続けることは可能です」

   そのうえで、同党の主張として、香港の自由が失われれば、中国は沖縄なども狙ってくるとして、中国がデモに軍事介入した場合、中国の覇権主義に対抗するためにも、法改正して自衛隊を派遣すべきだと述べている。大川氏の霊言については、近日中に本にまとめて出版する予定だともしている。

   アグネスさん守護霊の発言は、中国語にも翻訳されて、中国の一部ネット上で、本人による直接の発言として拡散した。

   そして、アグネスさんについて、香港独立分子であり、香港への自衛隊介入を望んでいて、おかしくなったなどと非難が相次ぐ事態になっている。

「地上の御本人の発言ではありません」

   これに対し、アグネスさんは9月5日、ツイッター上で「声明」を出し、こうした見方を否定した。

「最近、ある日本の政党の出版物に、私の名を騙って、私が『自衛隊に香港を助けてほしい』と主張していると書かれていました。 私はこのようなことは言っていませんし、このような主張はしていません。私について誤解を招くような文章を削除し、訂正することを求めます」

   この声明を受けて、幸福実現党は6日、次のような自らの「声明」を日本語のほか中国語や英語でも公式ツイッターにアップした。

「周庭氏より『幸福実現NEWS』特別号に掲載されている内容につき、一部削除要請がありましたが、本内容は、周庭氏の守護霊の発言を紹介したものであり、地上の御本人の発言ではありません。『霊言』とは、あの世の霊存在の言葉を語り下ろす現象です。私たち幸福実現党は宗教政党として、中国共産党の覇権主義を止め、香港および世界の自由・民主・信仰を守るためにこれからも戦い続けてまいります」

   その後、特別号の改訂版を出し、見出しや文末に「アグネス氏守護霊」と付け加えて強調し、アグネスさんの写真も削除した。さらに、公式サイトでこうした対応の報告を行い、中華系ニュースサイトに特別号が「周庭氏本人が日本に自衛隊派遣を要請している」という誤った内容で拡散されたとして、「厳しい環境の中で民主化運動にご尽力されている周庭氏におかれましては、誤解に基づくとはいえ、ご心配をおかけしたことをお詫び申し上げます」と謝罪した。

   なお、「守護霊の発言」として語られた自衛隊派遣などの内容は、7日11時現在でそのまま残されている。

「言論の自由のもとに撤回及び部分訂正を行う予定はない」

   幸福実現党の広報本部は9月6日夜、J-CASTニュースの取材に答えて、同党の考え方などを説明した。

   すでに公式ツイッターで公表していた「声明」などの内容に加え、自衛隊派遣などの霊言を載せた改訂版や本の内容については、「御本人の発言であるとの誤解を与える余地はありません」とし、「邦人保護のための自衛隊派遣など重要視点もあるため、表現の自由、言論の自由のもとに撤回及び部分訂正を行う予定はありません」と答えた。

   アグネスさんから直接抗議などがあったかについては、「9 月5 日にご自身のツイッター上で出された『声明』以外で、幸福実現党向けのメッセージはありません」とした。

   なぜ香港の民主活動家を支援しているのかについては、党公約にも掲げていることだとして、次のように説明した。

「幸福実現党は立党以来、中国の覇権主義を止める国防の大切さを訴えると同時に、ウイグル、チベット、内モンゴル等における中国政府による人権弾圧を改めるために、国連に意見書を提出する等の活動を行ってきました。宗教政党として中国におけるこれ以上の人権弾圧を見過ごすわけにはいかないからです」