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内閣支持率、改造で上昇 「増税賛成」増加も...勢いを維持できるか

   2019年9月11日の第4次安倍再改造内閣発足を受けて報道各社が行った世論調査では、大半で内閣支持率が上昇し、いずれも5割程度を維持している。19年7月の参院選で焦点になった消費税率の引き上げについても、10月1日の引き上げを直前に控えて「反対」が減少した。

   ただ、台風15号からの復旧は遅れ気味で、初入閣組を中心にスキャンダルもくすぶる。このまま安定飛行が続くかは不透明だ。

  • 安倍内閣の支持率はこのまま安定するのか
    安倍内閣の支持率はこのまま安定するのか
  • 安倍内閣の支持率はこのまま安定するのか

小泉環境相の入閣が奏功か

   もっとも支持率の伸びが大きかったのが毎日新聞で、前回6月の調査より10ポイント高い50%だった。朝日新聞は48%で、前回7月下旬調査より6ポイント伸びた。産経新聞とFNN(フジニュースネットワーク)の調査では前回8月より5.1ポイント高い51.7%で、共同通信は同5.1ポイント伸びて55.4%だった。日本経済新聞・テレビ東京の調査では59%で、前回8月30日~9月1日の58%と比べると、ほぼ横ばいだった。

   小泉進次郎環境相の入閣が奏功したとみられ、各社の調査では、同氏の入閣を「評価する」とする声が6~7割にのぼっている。

   また、消費税引き上げについても「反対」が減少傾向で、政府・与党にとっては追い風だ。朝日調査では、19年7月調査では「賛成」42%、「反対」52%で反対が多かったが、今回の調査では「賛成」「反対」ともに46%で拮抗。日経・テレ東調査では、8月末~9月初めの調査では「賛成」49%「反対」44%で、今回は「賛成」52%「反対」42%と、賛成の割合が増えている。

読売調査だけ支持率が下がった理由

   自民党の二階俊博幹事長は9月17日の記者会見で、安定した支持率について

「国民の期待も集まっており、調査の結果は非常に順当なものだと受け止めている」

などと話した。

   ただ、内閣改造直後に行われた6つの調査のうち、異彩を放つのが読売新聞の調査だ。唯一支持率が下がっているのだ。支持率は58%で、前回8月23~25日の調査より5ポイント下がっている。読売では、その背景について解説記事で

「麻生氏留任に厳しい目」

の見出しを付けて

「改造直後の支持率が下がったのは、2012年の第2次安倍内閣発足以降、初めて」

と説明した。

調査期間中にも火種が続々と...

   各社の世論調査が行われた日数には幅があるが、いずれも9月11~15日の間に行われた。その期間中も、支持率低下につながりそうな火種が続々と発生している。ひとつが9月9日に千葉県に上陸した台風15号の問題。最大約93万戸が停電し、東京電力は10日の段階では、11日中に全面復旧を目指すとしていたが、11日には「13日以降」、13日には「最長で27日」と二転三転。被害が拡大するにつれて、9月11日に内閣改造に踏み切ったことを含め、政府の初動体制のあり方をめぐる批判が高まりつつある。

   もうひとつが閣僚のスキャンダルの問題。竹本直一科学技術担当相については、元暴力団幹部と記念写真に写っている写真がSNSに掲載されている、などと9月13日に週刊朝日のウェブサイトが報じた。翌9月14日には、北村誠吾・地方創生担当相が地元のダム建設について「誰かが犠牲に」などと発言、問題視された。

   9月18日には、高市早苗総務相が代表を務める自民党支部が、17年の衆院選期間中に、当時国と契約していた奈良市の寝具リース会社から献金を受けていたことが発覚。公選法では、国と契約を結ぶ当事者が国政選挙に関連して国会議員に献金することを禁じている。今回の献金が同法に抵触する可能性が指摘されたが、高市氏は9月19日、記者団に対して「抵触するとは考えていない」と主張。「疑義を指摘されるのは不本意で、道義的観点から」全額を返還した、とした。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)