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AKB「追悼パフォーマンス」に託した感謝 過去にも急死ファン題材の曲が

   AKB48が2019年9月26日に千葉県松戸市で行ったコンサートで、「ある大切なファン」に向けてパフォーマンスを披露する場面があった。AKB48結成当時からの古参ファンで、19年9月下旬に病気で死去した通称「カギ」さんのことを念頭においているとみられる。

   「カギ」さんはブロガーとしても知られ、その書き込みを励みにしたメンバーもいた。

  • 千葉県松戸市で行われたコンサートには「ツアー選抜」16人が参加した(c)AKS
    千葉県松戸市で行われたコンサートには「ツアー選抜」16人が参加した(c)AKS
  • 千葉県松戸市で行われたコンサートには「ツアー選抜」16人が参加した(c)AKS
  • 投票企画では岡田奈々さんがセンターに(c)AKS

「ファンのみなさま、ひとりひとりが、私たちにとって本当に大切な存在」

   この日のコンサートは、7月に開幕した全国ツアーの一環。公演によって出演チームやメンバーが入れ替わる仕組みで、グループ総監督の向井地美音さん(21)や柏木由紀さん(28)らによる「ツアー選抜」が首都圏でパフォーマンスするのは初めて。最新シングル「サステナブル」(9月18日発売)や、「へ―ビーローテーション」(10年)「大声ダイヤモンド」(08年)といったヒット曲を中心に、1800人(主催者発表)の観客を前にアンコール含め計28曲を披露した。

   「ツアー選抜」による公演は大阪、仙台、広島、福岡、名古屋に次いで6会場目で、今回の公演で初めて登場したのが「ファンレター」という楽曲。AKB48のチームKが09年4月に初演した「逆上がり」公演の楽曲のひとつだ。終盤のMC(トーク)が終わると、チームBキャプテンの岩立沙穂さん(24)が

「それではここで曲の方に戻りたいと思うのですが、まずはこの曲を、ある大切なファンの方に向けて歌わせていただきだいと思います。それでは、聴いてください。『ファンレター』」

と切り出した。出演メンバー16人全員によるパフォーマンス後に客席から拍手が起こり、

「ありがとうございます。日頃から応援してくださるファンのみなさま、ひとりひとりが、私たちにとって本当に大切な存在です。これからも応援をよろしくお願いします」

と頭を下げた。

楽曲「ライダー」は死去のファンに捧げた曲

   「カギ」さんのブログのタイトルは「AKB48をめぐる妄想」。関係者の間では「妄想ブログ」として知られていた。最初の書き込みは05年12月29日だ。最初に行われたAKB48の劇場公演が05年12月8日なので、最古参ファンのひとりだ。

   最後の書き込みは19年2月6日だった。メンバーの高橋朱里さん(21=19年5月卒業)が乗った車が事故に遭ったことを心配する内容だった。

   ブログに目を通していた関係者も多く、柏木さんと同期の田名部生来さん(26=17年卒業)は、ツイッターで

「昔はSNSなかったのでファンレター読むのとファンの方のブログ徘徊が日課だったわけです。笑 中でもカギさんのブログには私、かなり励まされておりました。B2nd(編注:07年『会いたかった』公演)あたり...ありがとうございます。心よりご冥福をお祈り致します」

と悼んだ。

   AKB48がファンの死を悼むのはこれが初めてではなく、実在の男性ファンにちなんだ「ライダー」という楽曲は有名だ。そのファンはバイクで劇場に通っていたことから「ライダー」さんと呼ばれていたが、06年6月に東京・秋葉原のAKB48劇場で倒れ、その後死去。訃報は関係者にも伝わり、楽曲は06年8月初演のチームA「誰かのために」公演に盛り込まれた。15年12月に行われた「AKB48劇場オープン10年祭」では、最前列の1席が「ライダー」さんのために空けられた。

   17年10月に行われた渡辺麻友さん(25=17年卒業)の卒業コンサートでも、最前列に空席が設けられた。コンサートの2週間ほど前に23歳の若さで死去した渡辺さんの熱心なファン、「ポムポムまゆゆ」さんのためのものだ。死去を母親が「ポムポムまゆゆ」さんのツイッターアカウントで代筆し、それが拡散されてコンサート主催者に届いた結果だ。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)