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iPad、「ノートパソコン化」鮮明に 独自OSで変貌...価格面でも攻勢

   アップル社が提供する「iPad」のOS(オペレーティング・システム)として、新たに「iPadOS」が採用された。これまでiPadは、iPhoneなどと同じく「iOS」で動いていたが、iPad2019年モデルの登場に合わせて、独自のOSに切り替えられた。

   新機能はノートパソコンをライバル視するようなものばかり。これからiPadは、タブレットから脱却していくのだろうか。

  • 「新世代」の文字がおどるiPad公式サイト
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これまでタッチパネル操作が必須だった

   OSとはコンピュータの上で、ソフトウェアを動かす基盤となるシステム。マイクロソフトのWindows(ウィンドウズ)が一番有名で、スマートフォンやタブレットでは、グーグルのAndroid(アンドロイド)が普及している。このほか、大小あわせて様々なOSが存在する。

   そんな中のひとつであるiPadOS。iPad専用ということで、これまでのiOSよりも、ハードとソフトの両面からノートパソコンに近づいた。まずは、複数のアプリを重ねて表示させたり、左右に2分割させたりできる「Slide Over(スライドオーバー)」と「Split View(スプリットビュー)」の機能強化だ。従来よりもマルチタスク(複数アプリを切り替えつつ、作業を平行すること)が行いやすくなった。

   また、マウスが使えるようになったのも大きな変化だ。これまでも外付けキーボードは接続できたが、画面操作は、いちいちタッチパネルで行う必要があった。それがマウスでも可能になれば、よりPCに近い感覚を得られるようになる。

   ファイル操作にも手が加えられた。USBメモリーが接続できるようになったほか、純正アプリ「ファイル」での管理も強化。これまでのiPadは正直言って、他社製周辺機器での拡張性があまりなかったため、マウスとUSBメモリーが使えるようになるのは大きい。

「2in1」にシフトした印象

   今回の機能追加を見ると、iPadのライバルは、単体のタブレットから、キーボードを付けてノートパソコンのような使い方ができる、いわゆる「2in1」へと移していこうとしているように感じられる。実際、19年9月30日発売の新型iPadは、「どんなコンピュータにも似ていないコンピュータ」を売り文句にしている。

   これまで廉価版のiPadは、純正のカバー型キーボードである「Smart Keyboard」に対応してこなかった。対応するワンランク上のiPad Proは9万円台~とあって、「ちょっと文字入力したいな」との動機では手を出しにくかったが、今回は廉価版モデルも対応。あわせて5万円台で環境を整えられる。

   2in1の分野で一歩先を行っているのが、マイクロソフトのSurface(サーフェス)シリーズだ。こちらも純正のキーボードカバーがあるが、たとえば「Surface Go」だと、あわせて8万円ほどになる。Windowsのアプリを使う必要がなく、文字入力がメイン用途だった場合には、iPadを選ぶ人も多いだろう。

   ノートパソコンだと厚くて重い。かといって、スマホやタブレットだと、仕事をするには使いづらい――。そんなニーズに対して、新しいiPadは選択肢のひとつになる。筆者のように、日常的に文章を扱う仕事なら、サブツールとして持っておいてもよさそうだ。

(J-CASTニュース編集部 城戸譲)