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消費増税の影響、「前回」と比べると... 3分の1が「意欲高まらない、控えたい」

   消費税率の10%への引き上げが、いよいよに迫る。消費の落ち込みも懸念されるなか、政府はキャッシュレス決済でのポイント還元などで負担軽減を図り、「十二分な対策を実施」し、消費を下支えするとしている。

   実際、引き上げ後の消費動向はどうなるのか。税率アップを目前に控え、「消費意欲」などに関するアンケートが複数公表された。中には、前回の税率引き上げ時(2014年4月に5%から8%へ)と比べ、「消費意欲」を示す指数の数字が今回の方が微減(やや悪い)という調査結果もあった。

  • 消費税増税の影響は?
    消費税増税の影響は?
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歴代ワースト3位

   消費税(8%)は2019年10月1日から10%へ引き上げられる。直前の9月26日、増税関連の調査やアンケートの結果が相次いで明らかになった。

   博報堂生活総合研究所は「10月の消費予報」を発表。毎月発表している調査だが、今回は増税のキーワードを織り交ぜながら分析を行い、「消費意欲指数」を前月や、前回の消費増税時の数値と比較している。同指数は、「消費意欲が最高に高まった状態を100点とすると、(調査対象の)来月の消費意欲は何点か」を尋ねたもの。20~69歳の男女1500人を対象にインターネットで9月上旬に行った。

   10月の消費意欲指数は、41.9点だった。前月比で7.8ポイントのマイナスで、前年同月比では、4.6ポイント減だった。また、前回増税時の「14年4月」の指数は43.7点で、今回はそれより1.8ポイント減と微減だった。今回の41.9点は、2018年2月(40.6点)、17年2月(41.5点)に次ぐ、「歴代ワースト3位」(調査開始は12年4月)だった。

   また、消費指数の回答理由として、「増税があるので消費意欲が高まらない、(消費を)控えたい」と回答した人は、530件と全体の約3分の1にのぼった。前回増税時でも547件と約3分の1だった。同総研は、「(前回増税時の4月と今回の10月では)月が異なるため一概に比較はできませんが、今後の動向を見守りたいところです」と論評している。

「増税対策」のトップは「節約」

   「消費税増税 直前アンケート調査」の結果を発表したのは、日本生活協同組合連合会と公益財団法人「生協総合研究所」。増税対策についての質問(複数回答)は、「特に対策は行っていない(行う予定はない)」は18.4%にとどまった。最多は「支出を増やさないため全般的に節約したい」(53.0%)で、「一部品目の買いだめ」(29.9%)、「キャッシュレス決済の利用を始めた(始めたい)」(29.0%)、「外食を控えたい」(26.6%)と続く。

   あらためて税率引き上げへの賛否を聞いた質問では、「反対」(25.5%)と「どちらかといえば反対」の合計が55.7%と半数を超え、「賛成」(4.0%)と「どちらかといえば賛成」との合計は26.7%にとどまった。調査は、日本生協連のモニター約1700人を対象に行い、940件の回答を得た。

   なお、前回増税後の消費動向については、たとえば、みずほ銀行のみずほ総合研究所の発表資料「消費増税で消費は再び低迷するか」(2018年9月7日)では、「2014年の消費増税後は、想定された以上に消費の低迷が長引き、2015年から2016年にかけて実質消費支出は前期比ベースで平均+0.11%と、非常に弱い伸びにとどまった」と指摘している。

   政府は今回、キャッシュレス決済でのポイント還元や低所得者向け「プレミア付き商品券」発行などの対策をとっている。引き上げを目前に控えた9月2日にあった政府・与党連絡会議では、安倍晋三首相は、「十二分な対策を遺漏なく実施し、消費をしっかり下支えしていく」(毎日新聞ウェブ版、9月2日)と述べた。また、自民党の経済成長戦略本部は、増税から1か月後の10月末に政府から報告を受け、増税の影響を検証する予定だ。