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「江川監督」タイミングは逸したか 巨人の世代交代、阿部引退で加速

   5年ぶりのリーグ優勝を決めた巨人は2019年9月28日、神宮球場でヤクルトと対戦し、今季のレギュラーシーズンを終えた。第3次政権となった原辰徳監督(61)が就任1年目にしてV奪回。一方で阿部慎之助捕手(40)が今季限りでの引退を表明し、来季は指導者としての入閣が濃厚となった。将来的な監督を見据えての入閣とみられ、次期監督候補のひとりに挙げられる。

   原監督は全権監督として昨オフ、フリーエージェント(FA)で丸佳浩外野手(30)、炭谷銀仁朗捕手(32)を獲得し、外国人選手の補強も積極的に行った。シーズン中にはトレードと外国人選手の獲得で手薄だった投手陣の補強に成功し、戦力強化に努めた。監督復帰後、1年目にして結果を残した指揮官だが、阿部の現役引退によって早くも後継者の話題が上がり始めている。

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阿部を筆頭に高橋前監督、松井氏らが候補に

   昨オフ、高橋由伸前監督(44)の後を引き継いだ原監督は、3年契約で自身3度目の監督に就任した。2006年からの第2次政権は10年にわたる長期政権となったが、後継者の育成に着手できないまま高橋氏にバトンタッチ。原監督は後継者として阿部に期待をかけており、残り2年間、自身が監督を務める間、阿部を手元において「帝王学」を学ばせる方針とみられる。

   原監督の後継者を巡っては、決して一枚岩ではなさそうだ。巨人の次期監督候補として、阿部を筆頭に前監督の高橋氏や松井秀喜氏(45)の名が挙がっている。3人いずれも40代で、球団の世代交代の方針がみてとれる。原監督が初めてチームの指揮を執ったのは2002年。長嶋茂雄監督の勇退に伴い、43歳(シーズン中に44歳に)で監督に就任した。

   巨人の世代交代の波に飲み込まれそうなのが、OBの江川卓氏(64)だ。これまで幾度なく巨人の監督候補に挙がりながらも、現役引退後は一度も巨人のユニフォームに袖を通していない。2011年オフには、1軍ヘッドコーチとしての入閣が報じられ、15年オフには原監督の後任候補と目されていた。江川氏はかつて「自分は考えを譲れないタイプ」と自己分析した上で「コーチではユニフォームを着ない」と発言している。

世代交代が続く野球界、掛布氏も退団へ

   プロ野球界全体においても監督の若返りは顕著で、セ・リーグでは61歳の原監督が最年長となり、40代のDeNAアレックス・ラミレス監督(44)をはじめとし、残り4球団の監督はすべて50代。パ・リーグでは原監督と同学年の西武・辻発彦監督の60歳が最年長で、50代監督が3人、40代1人、そして楽天・平石洋介監督の39歳が最年少となる。

   阪神では江川氏と同じ年の掛布雅之オーナー付きシニア・エグゼクティブ・アドバイザー(64)が、今季限りで球団を退団することになった。阪神は昨オフ、金本知憲氏(51)から矢野燿大監督(50)にバトンタッチされたばかりで、世代交代の流れから掛布氏が今後、阪神の監督に就任する見通しは暗い。

   プロ野球ファンの中では、江川氏の監督待望論は今だ根強いものがある。一方で巨人のみならず球界全体を見渡すと、監督の若返りが主流になりつつある。江川氏はかつて監督就任に関して「タイミング」の重要性を説いていた。その江川氏は来年5月に65歳となる。江川氏は「タイミング」を逸してしまったのだろうか。巨人の世代交代が始まろうとしている。