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子ども助けようと転落... ゾウの行動は「仲間意識」から?専門家に聞いた

   滝に落ちた子どものゾウを助けようと、仲間のゾウが次々と落ちて6頭が死んでいるのが見つかった――

   タイの国立公園で起きたこのニュースが日本国内で流れると、ツイッターでは「子象を助けようとしてってのがすごく辛い」といった反応が相次いで寄せられた。J-CASTニュースは、ゾウの行動に詳しい専門家に話を聞いた。

  • ゾウの仲間意識は強い(写真はイメージ)
    ゾウの仲間意識は強い(写真はイメージ)
  • ゾウの仲間意識は強い(写真はイメージ)

「胸がいたくなった」「すごく辛い」

   タイ東北部のカオヤイ国立公園で2019年10月5日、野生のゾウ6頭が滝に落ちて死んでいるのが見つかった。3歳前後とみられる子どものゾウが落ち、このゾウを助けようと、次々と転落してしまったと見られている。6日、NHK(ウェブ版)などが報じた。近くの岩場では他にも2頭が身動きがとれなくなっていたが救助された。やはり仲間を助けようとしていたと見られる。NHK報道などによると、場所は「地獄の滝」とも呼ばれ、「27年前にも8頭のゾウが落ちて死んだ」という。

   こうしたニュースが流れると、ツイッターには

「胸がいたくなった。象ってすごい!やさしい仲間意識があるんだなぁ」
「子象を助けようとしてってのがすごく辛い」

といった声が次々と出ていた。

   今回のタイでのニュースについて、千葉県市原市の動物園「市原ぞうの国」の坂本小百合園長にJ-CASTニュースが6日、話を聞いた。

   坂本園長によると、ゾウは動物の中でも仲間意識が強く、群れの子ゾウを助けようとする行動を見せるのはよくあることで、川での救出など多くの報告事例がある。今回のニュースについては「残念なことではあるけれど、驚きはしない」そうだ。

   ゾウはメスをリーダーとして群れで行動し、普段から小さな子ゾウを複数のメスが守るように周りを囲んで歩いたりする。アジアゾウでもアフリカゾウでも同様だ。「市原ぞうの国」でも、2011年3月の東日本大震災の際、子ゾウを複数の大人のゾウが集まって、くるむように守ろうとした行動が確認された。

「危険を察知する能力に長けている」が...

   現場となったタイのカオヤイ国立公園へは、坂本園長はこれまでに何度も行ったことがある。滝の周辺や流れの早い川は、安全に渡ることができるポイントが少なく、現地の関係者と、その危険性について話したこともあったという。

   基本的には、ゾウは危険を察知する能力に長けているのだが、今回のケースでは何らかの理由で水量が大幅に増えるなど、「いつもと違う何か」が起きていたのかもしれない、とも話した。

   坂本園長は「子ゾウなどを助けようとするゾウの仲間意識の強さ」について、何度も強調していた。

   なお、「市原ぞうの国」は、9月9日の台風15号被害により一時停電となり、動物の飲み水確保で苦境に陥ったが、多くの発電機が届くなどの支援が集まり14日には営業を再開した。ゾウ13頭をはじめ約85種類600頭・羽の「動物たち」がおり、ゾウと触れ合うショーも行っている。