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「まだ結婚できない男」が他人事じゃない、リアル「結婚できない視聴者」たち

   俳優の阿部寛さん(55)が主演する「まだ結婚できない男」(フジテレビ系)の第1回が、2019年10月8日に放送された。

   同作は2006年に放送された「結婚できない男」の続編。建築家として確かな技量を持つも、その偏屈さで周囲を驚かせる一級建築士・桑野信介の13年後の姿を描く作品だ。

   第1回では、桑野のことを「高齢者を食い物にしている」と難癖をつける匿名ブログに業を煮やした桑野が、弁護士の吉山まどか(吉田羊さん)の事務所に相談に行ったところから物語が始まり、吉山に離婚裁判を依頼しているカフェの店長・岡野有希江(稲森いずみさん=47)との出会いを果たすなど、ドラマの主要人物が次々と登場する展開となった。

  • 阿部寛さん(2017年撮影)
    阿部寛さん(2017年撮影)
  • 阿部寛さん(2017年撮影)

男女問わず「13年経っても...」ため息

   前作同様、結婚には何のメリットもないと説くなど安定の「偏屈ぶり」を発揮する桑野。13年前と変わらぬ姿に対し、ネット上ではツイッターを中心に、「まだ結婚できない男見てるけど阿部寛の演技が13年前と同じで面白い」といった絶賛の声が殺到したが、それに加えて、「『まだ結婚できない男』を見る。まさかの自分も笑えない年齢になってきた」と自らに置き換えて考える男性視聴者からの声が続々と上がった。

   同作をめぐっては、制作発表の段階から「阿部寛の奇行の数々に笑ってたけど、もう年齢的に他人事じゃないから笑えなくなってきてそう。見たいけど」といった、内容が身につまされるとする声が続々と上がる事態に。13年という長い時間が経過しただけあり、前作放送時と同様に現在も独身の男性視聴者からは、前述のような声が噴出しているのだ。

   加え、第1回の放送では、これに加えて「まだ結婚できない女」からとみられる叫びも続々と上がっている。あるツイッターアカウントは、「結婚できない男を見ていた当時は学生で私もいつか結婚するのかなと夢見てたけど13年経ってもまだ結婚できない女だった」と、作品を見つつ自らの人生に思いを馳せたとするツイートを行っているほか、別のアカウントは、「『まだ結婚できない"女"』 なんてタイトルのドラマなら大炎上するんだろうな」と、男女を入れ替えたら大騒ぎに発展するのではと指摘している。

桑野の講演は答えを指し示した!?

   多数の「結婚できていない男女」からため息が漏れた「まだ結婚できない男」の第1回。冒頭部分では、2015年に厚生労働白書で発表された「生涯未婚率」(現在は「五十歳時の未婚割合」)を引用し、当該年齢の男性は23.4%、女性は14.1%が未婚状態にある(結婚の経験がある人は含まない)と算出されていることに触れつつ、「これは今や、社会全体を挙げて取り組むべき問題なのである」とのナレーションが挿入されるなど、喫緊の問題であることを示す形で物語が始まった。

   そして、ラスト部分。出席した講演会で建築についての基調講演を行った桑野は、自らは結婚するつもりはないとしつつ、日本の住宅は結婚して子供が生まれることが前提で造られていると指摘。その上で、結婚しようがしまいが人は最後は1人になり、長い老後を1人で生きることになると説いた。そして、その解決策として桑野は、1人でも快適に暮らせる家を造ることを提示。「要は、私は......自分が住みたい家を造りたいのかもしれません」と自己分析した。

   まだ第1回が終わっただけであるにもかかわらず、ドラマ最大のテーマが現れたとも思える重厚なスタートを切った「まだ結婚できない男」の今後が注目される。

(J-CASTニュース編集部 坂下朋永)