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永友洋司氏「感謝」、坂田正彰氏「やり切った」...ラグビー界の「レジェンド」に聞くW杯評

   史上初の「8強」進出を決めたラグビー日本代表だったが、2019年10月20日に行われた南アフリカ代表に「3―26」で敗れ、「4強」進出はかなわなかった。翌21日、記者会見を行ったメンバーも、敗れはしたが皆、清々しい笑顔を見せた。

   J-CASTニュースは、元日本代表SH(スクラムハーフ)で、キヤノン・イーグルス(トップリーグ=TL)現GMの永友洋司氏、同じく元代表HO(フッカー)、サントリー(TL)で元GM坂田正彰氏に話を聞いた。

  • 試合後、円陣を組んでお互いをたたえ合うラグビー日本代表メンバーたち
    試合後、円陣を組んでお互いをたたえ合うラグビー日本代表メンバーたち
  • 試合後、円陣を組んでお互いをたたえ合うラグビー日本代表メンバーたち

文字通り「縁の下の力持ち」長谷川慎コーチの存在

   まず、永友氏は、

「決勝トーナメントに『日本』の名前が入るなんて、本当に感動だよね。選手やスタッフも含め『感謝!』以外の何物でもない」

   続けて坂田氏は、

「やり切ってくれましたよね。(目標に掲げていた)『ベスト8』を達成したんだから。責任は、十分に果たしたんじゃないでしょうか。世界に衝撃を与えられたと思います」

   そんな中で、レジェンドお二方が挙げたのは「セットピース」(スクラムやラインアウト)の安定だった。今大会は「ジャッカル」や「オフロードパス」といったラグビー用語が飛び交っているが、基本は「セット」だという。

   その一翼を担ったのが、FWコーチの長谷川慎(しん)さんだった。

   長谷川コーチは東山高(京都府)―中央大を経てサントリー、そして日本代表へと選出された。ポジションはPR(プロップ=スクラムの最前列)。179センチ、102キロ(現役当時)と、世界レベルで見れば小柄だが、屈強な体で代表を支えてきた。

「3、2、1」の関係

   実は長谷川コーチ、サントリーや日本代表時代、お二方と一緒にプレーしていた。サントリーの年次で言うと、永友氏が3年生、長谷川コーチが2年生、坂田氏が1年生...といった関係性となる。

   永友氏は、

「慎が、厳しい合宿の鍛錬で『セット』を安定させてくれたことが大きいよね。『ジャッカル』とか『オフロードパス』という言葉が今大会、よく言われたけど、安定した『セット』がないと、BK(バックス)にも安定したボールが供給できない訳だから」

   スクラムの最前線で長谷川コーチと一緒に戦ってきた坂田氏は、

「スクラム? 何千本、一緒に組んだかなぁ...(笑)。でも慎さんは、本当に繊細で、丁寧な人。それがあってこそ『セットピース』の安定が生まれたんだと思います」

「ここからがラグビーの本当の力を見せる時」

   日本代表は、目標としていた「8強」で、今大会を終えたわけだが、

   永友氏は、

「ここからが、本当のラグビーの『価値』を見せるところ。普及や育成も含め、次こそ『4強』以上に行ってほしいよね」

   また坂田氏は、

「日本の皆さんも、彼らのハードワークを見て『勇気』とか『元気』とか、いろんなものをもらったんじゃないかと思います。選手、スタッフを始め、皆、多くのものを犠牲にしてきた訳ですから。今回のスローガンであった『ONE TEAM』は、ラグビーだけじゃなく、仕事でも何でも、活力になってくれれば...嬉しいですよね」

(J-CASTニュース編集部 山田大介)