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小池都知事とIOC調整委「決戦」の金曜日 テレビ→会見→会談と「東京開催」訴え続けるが...

   2020東京五輪のマラソン・競歩開催地をめぐって、IOC(国際オリンピック委員会)と東京都の意見が対立している。

   トーマス・バッハIOC会長の「札幌開催に決定」発言に端を発したこの騒動。東京都の小池百合子都知事は、従来通り地元開催としたい考えだ。

  • 小池知事は徹底抗戦の構え(2017年8月撮影)
    小池知事は徹底抗戦の構え(2017年8月撮影)
  • 小池知事は徹底抗戦の構え(2017年8月撮影)

早朝3時スタートには「ないですよね」と否定的

   東京五輪におけるマラソン開始時間は、招致当時は7時30分だったが、18年7月に7時ちょうどに変更。19年4月には、さらに繰り上げて6時とした。日本側は早朝にスタートすることで、「暑さ対策」にしようとの考えだったが、9月27日の世界陸上女子マラソンが、事態を一変した。

   カタール・ドーハで行われたこのレースは、深夜0時前後にスタート時刻が設定されたが、気温30度、湿度70%を超える悪条件のため、多くの棄権者が出た。10月17日の「決定」発言には、この事態をIOCが重く受け止め、気温が5度ほど低い札幌へ移そうとした背景がある。

   小池氏は25日朝、フジテレビ系の「とくダネ!」に出演して、改めて札幌開催は「晴天の霹靂」だったと語った。その上で、前日に報じられた、東京五輪マラソンの開始時刻を「午前3時」に前倒しする案については、

「なんか一部報道で午前3時なんて言ってますけど、それはやっぱり......ないですよね、どう考えても」

と否定した。被災地開催については、都庁職員の中にも「復興五輪と言っていたんだから、被災地で(開催しよう)」という意見はあるが、東京で準備を続けてきたため、東京開催を行いたいと話す。

   小池氏は、開催地を変更するには、単に「暑さ」だけでなく、宿泊客の受け入れや、ボランティアのマネジメントなどにも調整が必要だと指摘。重ねて「これまで投じてきたヒト・モノ・カネということで言うと、(札幌開催と知らされて)『ああ、そうですか』というのは、なかなか無理ですね」と語った。

   札幌開催にあたり、一番大きいのが費用面だ。小池氏は25日午後の定例会見で、移転時の費用負担は行わない方針を示した。一方で、北海道や札幌市も、みずからは負担しない考えだ。大会組織委員会・森喜朗会長は23日、BSフジの「プライムニュース」で、IOCへ負担を求めることも含めて、協議していくとしている。

会談では「札幌を選んだ科学的根拠」などを質問

   小池氏は25日の定例会見で、直後に控えたIOC調整委員会のジョン・コーツ委員長らとの会談について説明した。開催地変更について小池氏は、IOC側から直接聞くのは「今回が初めて」。実はIOCは11日に組織委・森会長へ札幌開催について連絡していたが、それが間接的に東京都へ伝えられたのは、3連休明けの15日。バッハ会見の前日だった。開催地への連絡が遅れたのも、小池氏の反発を招いた要因の可能性がある。

   定例会見で小池氏は、コーツ氏らとの会談で(1)なぜ、どのように「札幌」を選んだのか(2)「札幌」をピンポイントで選んだ科学的根拠(3)東京とドーハを比較することの是非(4)仮に開催地を変更した場合の費用負担、警備、宿泊、観戦チケットへの対策、といったことを聞くと語った。

   しかし、コーツ氏は会談冒頭から札幌開催への理解を求め、この日は結論が出なかった。各社報道によると、コーツ氏はIOC側が選手の宿泊費などを負担する用意がある、メダル授与式は東京で行う、などの案を示したという。踏み込んだ協議は、30日からの調整委員会で行われるが、なんとしても地元で開催したい東京都と、「選手ファースト」を理由に移転させたいIOCの対立は続きそうだ。