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「キャッシュレス最強」呼び声高いSuicaに、本当に死角はないのか

   政府のキャッシュレス還元事業が始まって、まもなく1か月。そろそろ赤いポスターやPOPにも見慣れてきたころだろう。多様な決済手段があるが、JR東日本のSuicaが「キャッシュレス最強」ではないかとの報道が、チラホラと出てきている。

   では、なにか弱点はあるのだろうか。

  • 改札の外でも「おトク」に
    改札の外でも「おトク」に
  • 改札の外でも「おトク」に

いままでポイントの魅力は薄かったが...

   これまでSuicaは、JRE POINT加盟店でのみポイント還元が行われていたこともあって、PayPayなどのコード決済に比べて、「おトクさ」では地味な印象があった。しかし還元事業により、JRE POINTと紐付ければ、加盟店以外でも還元対象店舗であれば2%もしくは5%が還元され、JR東日本圏外に住む多くの人でも、恩恵を得られることになった。

   本来の用途である鉄道乗車にもメリットができた。Suicaでは2019年10月から、チャージ残高で乗車した場合に、JRE POINTが還元される。カード型は0.5%(200円ごとに1ポイント)、モバイルSuicaでは2.0%(50円ごとに1ポイント)が付与され、モバイルSuicaの場合には定期券購入も対象となる。たまったポイントはSuicaチャージもできるため、JR東日本管内のユーザーにはうれしい変更だ。

   Suicaをはじめとするタッチ決済は、なにより利便性が高い。コード決済であれば、レジでスマホ画面を読み取ってもらうか、店のコードをスマホのカメラで読み取る必要がある。後者では、みずから金額を入力しなければならない場面も多い。この手間がタッチひとつで省けるのも、「最強」と呼ばれる理由だ。

利用履歴が「物販」だらけなのは残念

   デメリットとしては、もともと交通利用のために作られたこともあり、買い物に向いてないことがある。Suicaはカードもモバイルも、チャージの上限額は2万円。大きな買い物は難しい。また、オートチャージ対応が、JR東日本系列の「ビューカード」に限られているのもネックだ。

   そして、個人的に一番不便を感じるのが、利用履歴に「物販」としか書かれない点だ。家計簿を付けるにしても、日付と価格をもとにして、レシートと突き合わせながら、科目を決めなくてはならない。近頃は自動取得型の家計簿アプリが普及していて、筆者もマネーフォワードとモバイルSuicaを連携しているが、こちらの履歴にも「物販」が並んでいる。カード型の利用履歴でも同様に、「物販」の詳細は印字されない。

   キャッシュレス化のメリットとして、利便性はもちろんだが、「家計の見える化」もある。どのような用途に、日々お金を使っているかが、自動的に記録されれば、浪費をおさえるのに役立つ。ここが補われれば、さらなる「強み」が加わることになるだろう。

(J-CASTニュース編集部 城戸譲)