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「ビオラソロとは珍しい」 国民祭典・奉祝曲が話題、天皇陛下との「縁」指摘も

   天皇陛下のご即位を祝う「国民祭典」とパレード(祝賀御列の儀)が週末に行われ、週明けの月曜にはテレビの情報番組が、その模様をあらためて伝えた。「祭典」で披露された奉祝組曲(Ray of Water)の第3楽章をアイドルグループ「嵐」が歌ったことや、奉祝曲のテーマは、天皇陛下が研究対象とする「水」であることなどに注目が集まっていた。

   そんな中、ツイッターでは奉祝曲にヴィオラ(ビオラ)が活躍するパートがあり、天皇陛下がビオラを演奏されることと関係があるのでは、といった推測も出ていた。

  • 「国民祭典」の際、皇居正門石橋で祝意に応える天皇皇后両陛下
    「国民祭典」の際、皇居正門石橋で祝意に応える天皇皇后両陛下
  • 「国民祭典」の際、皇居正門石橋で祝意に応える天皇皇后両陛下

トランプ米大統領が贈り物として陛下にビオラを

   国民祭典は2019年11月9日、都内の皇居前広場(千代田区)などで開かれた。広場の特設舞台では、嵐が奉祝曲の歌を披露するなどした。メディア報道では、人気グループの嵐が歌ったことや、東日本大震災の復興支援ソング「花は咲く」で知られる菅野よう子氏が作曲(指揮も)を手がけたこと、奉祝曲のテーマである「水」は天皇陛下の研究対象であることなどが紹介された。全盲のピアニスト、辻井伸行氏の演奏にも焦点があたっていた。奉祝曲が披露されると、皇后陛下が涙をぬぐわれる場面があったことも報じられた。

   こうした点以外にも、ツイッターでは、奉祝曲・第1楽章にあったビオラ演奏が目立った部分に注目し、天皇陛下がビオラ奏者としても知られることと結びつける人も見受けられた。天皇陛下は、学習院大学時代から本格的にビオラを始められ、演奏の様子などはこれまでも度々報じられてきた。5月にトランプ米大統領夫妻が来日した際は、トランプ氏が贈り物として、天皇陛下にビオラを贈ったことも話題となった。

   こうしたことを念頭にツイッターでは、

「ビオラソロとは珍しいと思ったけど そういえば天皇陛下はビオラ奏者でいらっしゃって」
「奉祝曲、めっちゃビオラ活躍して嬉しいなぁと思っていたが、よく考えたら天皇陛下はビオラを嗜(編注:たしな)まれてるんだった」

   といった反応が出ていた。

   ビオラ奏者の生野正樹さんは9日から10日にかけたツイッターで、自身も奉祝曲演奏に参加したことを明かし、当日の動画も紹介しながら、

 「ヴィオラソロもあり貴重な経験をさせていただきました!」
「ヴィオラソロー部分。録画を観たら今更緊張してきた」(原文ママ)
「こちらの映像だとソロ後に天皇陛下が笑顔でうなずいてくださっているような気がして鳥肌が...何にせよ、身に余る光栄な出来事でした。精進します」

   とツイートしていた。

ビオラ奏者の感想は?

   果たして、先のツイッター指摘のようにビオラ演奏に注目が集まる曲になったのは、作曲の際に天皇陛下のビオラ演奏のご経験を意識した結果なのだろうか。作曲者の菅野氏側に取材を試みたが、コメントを得るには至らなかった。

   ビオラ関係者は、奉祝曲のビオラ演奏部分についてどう感じたのか。バイオリンやピアノ、ビオラ、チェロ、コントラバスの「精鋭演奏家が集結」し、「ジャンルレスな音楽を探求・発信する」団体で、音楽教室も開いている「日本弦楽協会」(中川貴美子会長<バイオリニスト>)に所属する、ビオラ奏者の角田峻史氏に、J-CASTニュースが11日、話を聞いた。

   奉祝曲を映像で視聴したという角田氏によると、「ビオラ演奏部分を特別に強調した曲だとは感じなかった」。ビオラの音域を生かした旋律もあったし、伴奏することが多いビオラがメロディーを担当する部分もあったが、「それが特別に珍しい、というわけでもない」とも語った。一方でテレビ放送の映像のカメラワークについては、ビオラ演奏が目立つようにしているな、とも感じたそうだ。ビオラそのものについては、「人の声に近く、親しみやすい音です」と話していた。