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鉄道部品売りに出したら...突如降りかかった「盗品疑惑」 業者は「潔白」訴え、JR北にも情報提供済

   鉄道部品・模型などを扱う販売業者で売り出された「車内放送装置」が、3年前にJR北海道管内で起きた盗難事件の盗品ではないか、という指摘があがった。

   ただ、この業者はJ-CASTニュースの取材に「その盗難品ではないと思う」との認識を示した。インターネット上の指摘を受け、商品の出品者にも確認を取ったところ、「調べてもらっていい」と潔白を主張。また、JR北海道からも問い合わせがあり、すでに写真やシリアル番号を提供しているという。

  • 電車の装置をめぐって指摘があがった(写真はイメージです)
    電車の装置をめぐって指摘があがった(写真はイメージです)
  • 電車の装置をめぐって指摘があがった(写真はイメージです)

2016年5月に留萌駅で放送装置などが盗まれていた

   「それ、盗品では?」。鉄道模型・部品等の販売を手がける「フレイトライナー」が2019年11月12日に公開した商品をめぐり、ツイッター上でこんな指摘が複数あがった。

   同店が公開した商品は「8681-1 車内(音声合成)放送装置 旭川支社」というもので、販売価格は12万円。商品一式の写真もアップしている。

   「盗品」との声が出たのは、16年5月に起きた盗難事件が背景にある。当時、留萌(るもい)駅(北海道留萌市)に停車中の列車から車内放送に使う装置などが盗まれていた。留萌駅の管轄はJR北海道・旭川支社。今回の商品といくつか一致点があった。

   フレイトライナー公式ツイッターに複数のリプライが届いたほか、盗まれた物ではないかと指摘する投稿の中には4500以上のリツイート、9000以上の「いいね」がつくものもあり、「疑惑」は拡散されることになった。

   しかし、フレイトライナーを運営する村上木工挽物有限会社(埼玉県和光市)の担当者は14日、J-CASTニュースの取材に、「違うと思います。その盗難品ではないと思っています」と話す。担当者は次のように経緯を明かした。

   今回の商品は鉄道関連のコレクターが同社に出品し、販売を委託した物だ。ツイッターでの拡散を知った同社が13日、この出品者に問い合わせたところ、疑わしい物ではないと潔白を主張。入手経路なども確認した。そもそもこの放送装置はバスに使われる物と同じで、それなりの数が流通しているという。

JR北から問い合わせ、必要なら現物見せる

   ネット上の事態を知った出品者は「やましい物ではないということで、今の状況に困惑している様子」(担当者)だった。出品者からは商品を返してほしいなどの要求もなく、むしろ「シリアル番号も打ってあるからJR北海道に提供して調べてもらっていい」と提案された。同社からの「販売をいったん取り下げ、1か月ほど保管させてほしい」という提案も了承。「誠実に対応してくれています」と担当者は話す。

   一方、JR北海道から14日朝、この商品に問い合わせがあったという。

「購入目的は注文時には明かしてもらっていませんが、16年の盗難事件の盗品かどうかを検証するためだと思いました。ですから、指摘を受けていることや、潔白であることなどをすべて説明し、出品者の意向も伝えました。その上で、細部が分かる写真やシリアル番号をJR北海道様に提供し、調べてもらうようにしました。もちろんお金は頂いていません」(担当者)

   商品の現物はフレイトライナー側で保管しているが、もしJR北海道が現物を見たいとなれば、実際に見に来てもらうことも検討する。盗品かどうかの結果が出るまでは1か月程度を見込んでいる。

   J-CASTニュースはJR北海道に対し、(1)フレイトライナーに今回の商品を注文したか(2)商品写真やシリアル番号などの提供を受け、盗品かどうかを調べているのは事実か――などについて取材を依頼したが、同社広報は15日、「2016年に留萌駅で盗難があったのは事実だが、調査中なので回答は控える」とするにとどめた。

(J-CASTニュース編集部 青木正典)