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メルペイはなぜ、きゃりーぱみゅぱみゅを起用したのか CM出演者から見るPay戦争

   「○○Pay」。ユーキャン新語・流行語大賞にもノミネートしたこの語は、2019年を代表する言葉ともいえるだろう。

   今年の前半には、各社大々的なキャンペーンを打ってきた。しかし、10月の消費増税以降は、「高還元率」のアピールは少なくなり、それぞれ独自色を出しつつある。「誰を起用しているか」を通じて、各社がどのようなブランド戦略をはかっているのか考えてみる。

  • きゃりーぱみゅぱみゅさん(2019年3月撮影)
    きゃりーぱみゅぱみゅさん(2019年3月撮影)
  • きゃりーぱみゅぱみゅさん(2019年3月撮影)

吉本芸人で「親しみ」推すPayPay、対するメルペイは

   PayPayは、以前からイメージキャラクターだった宮川大輔さん(47)に加えて、ゆりあんレトリィバァさん(29)もCMに出演。宮川さん(京都府)、ゆりあんさん(奈良県)と、関西出身の吉本芸人を相次いで起用することで、親しみやすいイメージを定着させつつある。また、同系列であるソフトバンクホークスの本拠地、福岡ドーム(現:福岡ヤフオク!ドーム)のネーミングライツ(商標権)を取得して、20年から「福岡PayPayドーム」に改める。日本シリーズを3連覇した「若鷹軍団」の強さを武器に、さらなる高みを目指す。

   幅広く親しまれようとするPayPayに対して、メルカリのメルペイは、ターゲットを絞ったうえで、複数の層に向けた戦略を行っている。紹介キャンペーンの「すすメルペイ」では、YouTuberのHIKAKINさん(30)と、はじめしゃちょーさん(26)に加え、11月から歌手のきゃりーぱみゅぱみゅさん(26)がCM出演。いずれもティーンから20代にかけて愛される人物だ。また、商店街をジャックする「メルペイ通り」キャンペーンでも、4月の第1弾は東京・原宿の竹下通りで行われ、「若さ」を打ち出している。

「メルカリ」売り上げ、ほぼ年代に比例

   若者にターゲットを絞る一方で、メルペイは新たな層の掘り起こしも、同時に進めている。「メルペイ通り」はJR中央線沿線の高円寺ルック商店街(杉並区)や、「おばあちゃんの原宿」として知られる巣鴨地蔵通り商店街(豊島区)でも行われた。これら庶民的だったり、高齢層に愛されたりする街をジャックすることで、結果的に「若者だけではない」イメージを広げようとしていると思われる。

   そもそもメルカリは、若年層より高齢層の方が、より積極的に利用している。19年1月に発表された18年の利用動向によると、平均月間売上額では60代以上の男性が3万1960円でトップ、それに60代以上の女性(2万9788円)が続く。平均額は世代につれて、ほぼ右肩上がりとなっていて、10代は男性1万455円、女性5708円。現状でメルペイを使うには、メルカリのアプリを入れる必要があるため、両者のターゲットは表裏一体だ。そう考えると、若年層の利用額を増やすためにYouTuber、きゃりーさん......といった流れは不自然ではない。

Origamiは「スタイリッシュさ」?

   PayPayとメルペイ以外はどうか。Origami Payは18年10月から、モデルの水原希子さん(29)によるテレビCMを流したが、最近は流れていないようだ。ただ16年のサービス開始当初から、人気ロックバンド「サカナクション」による決済音を使っていることを考えると、他社よりも「スタイリッシュさ」に重きを置いた印象を受ける。

   LINE Payは4月、女優の今田美桜さん(22)を「アンバサダー」に任命。CMにも出演していたが、こちらも近頃はご無沙汰だ。コード決済の「広告塔」のなかで、一番知名度が高いのは、ファミペイの元SMAP香取慎吾さん(42)だろう。ただ、香取さんはファミリーマート全体のCMキャラなので、他社と厳密には異なる。

   いまは亡きセブンペイは「マナカナ」こと三倉茉奈さん、佳奈さん姉妹(33)をCMキャラクターにしていた。また決済音は、ヒャダイン(前山田健一)さんが担当していたが、ご存知の通り、短命で終わってしまった。キャッシュレス決済を還元率だけでなく、たまには「起用する人物」で比較するのも面白い。

(J-CASTニュース編集部 城戸譲)