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為末大「オリンピックは素晴らしいが...」 その後の「長い人生」の大切さに言及

   「知りすぎているからか、2020に向けて応援の声が大きくなるたび、その影にどうしても目がいってしまう。人生は長く、競技人生は短い」――。元陸上競技選手でスポーツコメンテーターの為末大さんが2019年11月20日、ツイッターでこう吐露した。

   為末さんは2000年シドニー・04年アテネ・08年北京と三大会連続で五輪に出場した経験をもつ。開催が迫る東京五輪の舞台で活躍を目指す選手たちの、「五輪後の人生」を憂いているようで、「今現役時代を振り返ると不思議な夢を見ていたような気持ちになる。なぜあれほどに五輪に焦がれて勝利を欲しがったのか」と選手時代をツイートで回想している。

  • 為末大さん(2013年撮影)
    為末大さん(2013年撮影)
  • 為末大さん(2013年撮影)

「オリンピックは人生そのものではない」

「東京五輪に向けて、選手たちにいい結果を出してもらおうと、選手のサポートが非常に手厚くなっている。頑張る人を応援するのは誰にとっても素晴らしいことをしていると感じられますし、実際に周囲のサポートによって素晴らしい成果をあげる選手もいるはずだ」

   このつぶやきを皮切りに、為末さんは「東京五輪と競技者」をテーマにした投稿を立て続けにツイート。東京五輪を見据えるアスリートたちを支援する体制が充実していることを喜びながらも、現状は「選手たちの競技人生を伸ばしていることにもなる」と釘を刺した。

「日本の文化では、二つのキャリアを同時進行することが一般的ではないので、どうしても一つのキャリアに時間が集中してしまい、長い間競技だけに人生を捧げた場合、引退した後に社会に適応することが難しくなる可能性がある」
「オリンピックは素晴らしいし、人生をかける価値のあるものだと思うが、しかしオリンピックは人生そのものではない。人生の前半で過ぎ去っていくものであり、その後には長い人生が待っている。そして、引退した後の社会は、スポーツの世界とは違う論理で動いていて、そこに適応するには時間がかかる」

   冒頭のツイートはこれら一連の投稿の締め括りだ。ユーザーからは「そこでの活躍があるからこそ、その後キャスターやら監督やら仕事増える人もいるのでは」という指摘や、「スポーツ界って、大成功すれば引退後は安泰とまではいかなくても色々お膳立てして生きられるけれど、プチ成功くらいの人たちは新たな道を探す必要が出てきて生きづらくなりがちに思える」との意見がリプライで寄せられている。